アメリカは巨人、日本はソフトバンク--プロ野球を通して考える国際政治《若手記者・スタンフォード留学記 35》
その後、星野監督は、現場を退き、シニアディレクターに就任、後任を岡田監督(メドベージェフ)に託した。しかし、昨年は土壇場で優勝を逃すなど、昔のダメ虎の一面が顔をのぞかせるようになってきた(オイル価格の暴落により、ロシアの国力も急速に低下している)。どん底からは脱したものの、依然として、チームに安定感がありません(ロシアもどん底から脱したものの、経済に安定感がありません)。
ファンが非常に熱狂的であるのも特徴の一つです(ロシアのナショナリズムも強烈です)。
6) 楽天=インド--若いチーム。一流となるのはまだ先
2005年度に設立されたばかりの新興チーム。リーグの6球団中、チームの総合力は最も劣るものの、世界に冠たる一流選手(岩隈・田中投手)を擁し、着実に戦力を伸ばしている(インドも、大国のメンバーに入ったのはつい最近の話。まだ経済力は弱いが、タタ、インフォシス、ミッタルなど世界で通用する企業を生み出している)。
経験の浅い若いチームを率いるのは、海千山千の知将・野村監督(インドも、人口構成では、6か国中で最も若い。そして、その若い国を率いるのは、76歳のマンモハン・シン首相。オックスフォード大学の経済博士号をもつ知将である)。
最大の弱点は、選手層の薄さ。とくに、レギュラー陣と控え陣の力の差が目に付く(インドの最大の一つも、大きな貧富の格差です)。親会社がIT企業であり、ITビジネスとのゆかりが深い(インドの主力産業もIT産業である)。
以上、つらつらと、偏見、強引なこじつけも含めて(笑)、6球団(6カ国)の紹介をしてみました。次回は、これを下敷きにして、ソフトバンクこと日本が、どうすれば、総合的な国力を増大することができるのか、その大きな戦略を考えてみたいと思います。
佐々木 紀彦(ささき・のりひこ)
1979年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業後、東洋経済新報社で自動車、IT業界などを担当。2007年9月より休職し、現在、スタンフォード大学大学院修士課程で国際政治経済の勉強に日夜奮闘中。
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