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大黒柱の1兆円事業は“100億円”で買った電池。TDKのカメレオン経営、生きた「機能対等」の企業文化

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ATL工場の外観とATLの小型バッテリー
TDKが買収した当時のATL工場(左下)。スマートフォンの登場で急成長を果たし、現在は街のような規模に変貌。グループの稼ぎ頭だ(写真:TDK)

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半導体や家電など日本の電機産業は凋落の歴史をたどったが、電子部品は高い競争力を保ち、日本勢が世界生産額の3割超を占める。その強さの源にあるのが独自の経営戦略だ。村田製作所、TDK、ミネベアミツミ――。本特集では彼らの流儀のエッセンスをお届けする。

京都企業の村田製作所に対し、電子部品における「東の横綱」が、東京に本社を構えるTDKだ。2025年3月期の売上高は2兆2048億円。業界で最大級の事業規模を誇る。

受動部品やセンサーなど多種多様な製品群を擁する中、小型のリチウムイオン2次電池を中核に据える。主にスマートフォンのバッテリーに用いられ、世界シェアは5〜6割程度。これを含む「エナジー応用」セグメントの部門売上高は1兆1000億円を超え、営業利益の大半を稼ぎ出す。

まさに大黒柱だが、事業の主体はTDKの本体ではない。05年に買収した中国の子会社、アンプレックステクノロジー(ATL)が主導権を握る。その取得額は約100億円。2次電池部門の最高責任者、指田史雄執行役員は「当初はドラフト4〜5位ぐらいの期待感だった」と振り返る。

屋台骨は時代ごとに変遷

いかに大化けを果たしたのか。その経緯をたどるには、TDKの歴史をひもとく必要がある。同社は1935年、フェライト(磁性材料)の工業化を目的に設立。ラジオや無線向け部品に始まり、時代ごとに看板製品を入れ替えて発展してきた。「カメレオン経営」と称されるゆえんだ。

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