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〈現場は悲鳴〉シェフや料理人の「終電で帰宅、風呂に入って寝るだけ」の過酷すぎる日々と「年収500万円の壁」の高さ

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シェフ・料理人
引く手あまたにもかかわらず、多くの課題が横たわり調理の担い手が減っている(写真:ray/PIXTA)

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人々の生活を支える重要な分野の1つである飲食業界。しかし現場では今、深刻な問題が山積している。長時間労働、低賃金など複雑な要因が絡み合い、シェフや料理人の数が激減しているのだ。打開策はあるのか。全4本の記事でレポートする。

【配信予定】
8月6日(水)料理人に変化をもたらす飲食業界版スキマバイト
8月7日(木)シェアダイン代表が描く「シェフの働き方」未来像​
8月7日(木)料理人のご意見番が激白「失われる和食の根幹」

「拘束時間が異常に長かった。こんな働き方ではハッピーになれないと思った」

1年前まで都内の串焼き店で働いていた山本ゆかりさん(仮名、46歳)はそう振り返る。調理師免許を持つ山本さんは、和食や洋食、エスニックなど多様なジャンルの店舗に従事してきた。串焼き店では次のような日々を送っていた。

朝、午前9時30分には調理場に入る。準備するのはランチだけではない。ディナーの仕込みを同時にこなしていく。ディナーの日替わりのおすすめ品は10品以上もあり、揚げ物なども8割方まで仕込んでおく必要があった。

慌ただしく準備をするうちにランチタイムを迎える。そうすると次から次へと客が押し寄せ、仕込みが一向に進まない。「店長から『まだ終わんないの?』と言われても、こちらとしてはギリギリ、パツパツで『終わるわけないじゃん』という心境だった」(山本さん)。

「やらなきゃ、やらなきゃ、やらなきゃ」

ランチ終了の午後2時過ぎから本格的に夜の仕込みを始めても、すべてを間に合わせるのは至難の業だ。「やらなきゃ、やらなきゃ、やらなきゃ」。自分を追い立てても、午後5時には再び客が来店し、あっという間に夜になる。

結局、山本さんは朝から夜まで働き、休憩はわずか30分だけ。疲れ果て、用意されたまかないもろくに食べられないことが常態化した。

「駅まで走って、終電に間に合うように急いで帰るのが当たり前。家に帰ると風呂に入って寝る。次の朝に起きて仕事場に向かう。毎日、それの繰り返し」だったという。

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