東洋経済オンライン

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未来に拓くあなたの力に

『東洋経済新報』創刊130周年を記念し、デジタル技術の急速な進化に伴う企業変革と社会構造の変化を背景に、健全な経済社会の発展を支える4つの主要テーマを設定しました。

「人生とビジネスの調和」で人材戦略や組織成長を、「進化する技術の未来」でテクノロジーによる企業変革を、「誠実な経営表明」でIRやコーポレートガバナンスを、そして「健全な社会の考察」で環境保護と社会的責任を取り上げます。これからも企業と社会の持続的な発展の在り方のヒントとなるよう、情報発信を続けます。

特別コンテンツ Special Content

経済・企業の「分析力」からたどる東洋経済130年史

経済・企業の「分析力」からたどる東洋経済130年史

現在も受け継がれる東洋経済新報社の精神は、創業当初から変わらない。新聞記者をしていた町田忠治によって、旬刊の『東洋経済新報』が創刊されたのは、1895年11月15日のこと。日清戦争に勝利した日本国内では、経済の近代化が始まろうとしていた。創刊の背景には、「今こそ政府に対する監督者、実業家に対する忠告者として、健全なる経済社会を牽引する経済雑誌が必要である」との思いがあった。また「東洋経済」という語には、東洋諸国をはじめとする世界経済に関する情報の提供者との意味が込められている。『東洋経済新報』では月1回、統計資料を基に貿易動向をつかむ「外国貿易月表抄」を付録として刊行。そこには早くも、現在まで一貫して続くエビデンス重視の姿勢が見て取れた。なお『東洋経済新報』は1919年に週刊化、現在も看板雑誌『週刊東洋経済』として続いており、その歴史の長さはビジネス誌として屈指だ。創刊以降も同誌は、日露戦争中の戦時財政論や講和問題に極めて冷静な論陣を張るなど、実際重視の信念をベースとした論理的・客観的分析によって政治、社会問題に切り込むことをいとわなかった。1924年、東洋経済新報社に転機が訪れる。当社社員にして、後に内閣総理大臣となる石橋湛山の主幹(後に社長)就任だ。石橋は、積極方針と経営の新展開を数々打ち出し、まさに中興の祖となる。1931年、実業家や専門家たちが集い、経済について議論するコミュニティ「経済倶楽部」を創設。また、ビジネス書籍の出版を本格化した。季刊『日本経済年報』(1930年創刊)に続き、34年には、月刊英文誌『オリエンタル・エコノミスト』を創刊。特徴の1つは翻訳調でなく、日本の政治経済に疎い外国人にも理解できる文章づくり。また、日本経済の長所短所を摘出し向かうべき道を示すことを編集方針として掲げた。結果として、諸国の同種雑誌に劣らぬ水準を維持し、外国の専門家から信頼を得た。そして36年、『会社四季報』を創刊する。四半期決算などまだ話題にもならなかった時代に、企業データの収集と独自分析に取り組み、それを事業につなげた。『会社四季報』は後に大躍進を遂げ、現在も事業の柱となっている。39年には、『東洋経済新報』の付録から独立充実させた『東洋経済統計月報』を創刊。37年の日中戦争勃発以降、第2次世界大戦に向かうなか、報道規制が本格化。政府による厳しい検閲が入り、社業は危機を迎えるも社是を守る決意をし、信念を曲げることなく『東洋経済新報』を発行し続けた。そして戦後復興の歩みが始まる。石橋が政界に進出した後も、東洋経済新報社は、社会の流れを先取りした取り組みを展開していく。56年、「記事広告」形式の広告事業を開始。今では当たり前のスタイルだが、当時は社名広告が主流で、先進的な試みだった。62年には、全国の会員に講演会を行っていた経済倶楽部のノウハウを生かし、セミナー事業を新規事業として開始した。昭和後期から平成にかけて、注目のベンチャー企業を対象にした『会社四季報 未上場会社版』(エレクトロニクス、メカトロ、バイオ、新素材、ファッション、新サービス産業など、当時急成長していたベンチャー企業を対象とし構成)や、人事担当向けの『役員四季報』、学生向けの『就職四季報』、大学を対象にした『日本の大学』も次々と刊行。さまざまな情報集積による、本格的なデータベース事業を開始し、総合経済情報企業の色を強めていった。平成の世となってからは、バブル崩壊で日本経済が停滞し、時代が大きく変わりつつあった中、1997年に大手証券会社の不正をスクープ。これが、以降の金融業界再編の幕開けとなった。経済の起爆剤となりうるベンチャー起業家に、いち早くフォーカスするなど経済ジャーナリズムとしての存在感を強めながら、出版物のデジタル化や、社会的テーマにも積極的な姿勢を示した。企業・団体の環境報告書やサステナビリティ報告書を評価すべく98年には「環境報告書賞」、2000年代初頭には「サステナビリティ報告書賞」をそれぞれ創設。また05年には『CSR企業総覧』を創刊するなど、SDGsというワードが生まれる前から、「働く環境」や「非財務情報」に目を向け、サステナビリティの促進に力を注いだ。そして21世紀初頭、東洋経済新報社にとって、もう一つの大きなターニングポイントが訪れる。ビジネスニュースメディア「東洋経済オンライン」のリリースだ。サイトの誕生自体は、「東洋経済投資クラブ」を全面リニューアルした2003年だが、2012年11月に、現在の「渡洋経済オンライン」として運営されている。以降PV、UBともに急上昇を示し、日本最大級のビジネスニュースサイトへと成長した。東洋経済の強みを生かしたビジネス、政治・経済、マーケットに関する記事と併せ、キャリア・教育、ライフスタイル関連の記事も多数掲載し、若い世代から経営者層まで幅広い支持を得ている。同年には、『会社四季報 業界地図』創刊。13年には、「会社四季報オンライン」サービス開始。『会社四季報』のデジタル化にも対応。東洋経済新報社のこうした実績を支えてきたのが、創業当時から打ち出され、その後3つの世紀をまたいで育み、受け継がれてきた、客観的で実際的な分析力だ。そのベースには、地道な取材で得たデータとエビデンスがある。そして、すべては、経済に携わる誰もが、未来の意思決定を輝かせ、活発に議論することができる「健全なる経済社会のために」という思いが源だ。この先もテクノロジーやメディアの形は大きく変化していくだろうが、こうしたケイパビリティの価値が褪せることはないだろう。既存の枠に収まらない、唯一無二のメディア企業を目指し、走り続ける。 ・東洋経済新報社130年沿革 ・東洋経済新報社パーパス ・東洋経済新報社の事業内容

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人生とビジネスの調和 Work-Life Harmony

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進化する技巧の未来 Future Technologies

生成AI時代、「AIの価値最大化」に必要な視点

生成AI時代、「AIの価値最大化」に必要な視点

中野 生成AIの登場以来、これをどのように導入・活用しようかという関心が高まっていますが、鹿島建設では世間的に注目が集まる前からAIなどを活用したDXを進めています。これらの取り組みを進める企業も最近増えていますが、導入が特定の部門にとどまるところも少なくありません。一方で鹿島建設では、施工現場など幅広い領域でデジタル化を積極的に推進しているのが大きな特長と感じています。真下 建設業界では高齢化や人手不足への対応が喫緊の課題になっています。当社では、各事業部のDXやAIへの取り組みが積極的です。ロボット化や遠隔モニタリングシステムなどの開発に力を入れており、すでに鉄骨溶接ロボット、自動巡回ドローンなどが実用化し、現場で活用されています。また、最近では、ダンプトラックでの運搬・荷下ろし、ブルドーザによるまき出し(運んできた土を層状に敷き広げること)、振動ローラによる締固め(土壌の密度を大きくし、崩れないように固めること)などの作業を無人で行う自動化施工システム「A4CSEL®(クワッドアクセル)」が、実際のダム工事などに導入され、省人化に大きく貢献しています。中野 AIを導入する企業は近年急増していますが、多くの企業において活用の場が限定的になっている印象です。AIは導入すればすぐに成果が出る「魔法のツール」ではありません。力を発揮するためには、明確な目的を設定し、人とAIを組み合わせていかにサービス提供や業務遂行するのか試行錯誤する必要があります。鹿島建設では、一定の失敗を許容し、現場の業務効率化で成果を出しながら、積極的な投資もするよいサイクルが回っているようにお見受けします。真下 その点に関しては、経営トップが旗振り役になり、全社を挙げて取り組んでいることが大きいですね。2024年5月に発表した、「鹿島グループ中期経営計画(2024~2026)」でも、「デジタル化の推進による生産性向上・業務効率化」を重要テーマとして掲げています。具体的には、建設現場における自動化・ロボット化などのスマート生産技術の実装、生成AIの活用などによる業務効率の改善などです。中野 真下さんが室長を務められている、デジタル推進室の役割も大きいのではないでしょうか。「部門の垣根を越えた連携を促す専任組織」と伺っていますが、組織に「横串を通す」ことは、企業においてなかなかうまくいきません。個々の部門から反発を受けることもあります。真下 デジタル推進室は、お客様や社内の課題解決に重点を置いており、そのために必要があれば組織を横断して活動します。横串は結果ではないでしょうか。課題解決に際しては、現場の業務がわからないと提案や支援ができません。デジタル推進室は21年1月に社長直轄部署として、土木・建築・事務・ITなどの専門性を持ち、現場の業務に精通したメンバーが各部から集まってスタートしました。現在は、さまざまなバックグラウンドを持った人材のキャリア採用も行いながら、一緒に活動してくれる仲間を増やしています。中野 企業における生成AI技術の活用が始まっていますが、日本企業では社内文書の検索や相談チャットといった「便利な技術」の域にとどまり足踏みをしている企業が多いです。一方で、国内外の先進企業は試行錯誤しながら、例えばAIエージェントの活用による納期調整を含む購買業務の完全自動化やアバターを併用したAI駅員による顧客対応自動化など、顧客接点を含めて高付加価値サービスの開発を進めています。生成AIをテコにいかに社会・顧客・自社の課題を解決するのか、これからの日本企業の大きなチャレンジになると思います。真下 当社でも生成AIを含めたAIの活用はかねて検討を進めてきました。私たちのケースで言うと、建物の企画・設計から、施工、運用・メンテナンスなど、各フェーズに適した形でAIを活用しています。企画であれば、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を活用することで、建物の完成予想図や、さらには建物を含む街づくりのイメージを生成AIで描くことができます。空調の気流などのシミュレーションや設備交換時期の予測といった、複雑な業務の効率化にもつながっていますね。中野 AIは特定の業務でしか力を発揮できないように思われがちですが、応用の幅はとても広いです。身近なところですとお掃除ロボットや、古くは炊飯器のファジー機能など、私たちが日常生活で使うものにもAIがすでに搭載されています。人間がAIを含むデジタル技術やITシステムを併用することによって、改善・高度化できない業務はないといえます。私たちは、「どの業務でAIを活用しようかな」ではなく、「この業務はどのようにAIを活用しようかな」と、改善・高度化できる前提で検討することを推奨しています。鹿島建設では、AIやデジタル技術の活用・併用による業務効率化にとどまらず、一歩先の「新たな価値創出」につなげるなど先進的な取り組みをされていますが、さらにどのように進化させていく考えですか。真下 建物を建てるだけでなく、建物のライフサイクルを通じてお客様をご支援することも当社の役割だと考えています。当社では、AIを活用してライフサイクル全体のCO₂排出量を正確に算定するシステム「Carbon Foot Scope™(カーボンフットスコープ)」なども開発し、脱炭素社会の実現に貢献しています。また、スマートシティなどのご提案も今後は増えてくると考えています。当社が中心となり旧羽田空港ターミナル跡地に建設した「HANEDA INNOVATION CITY(HICity)」は、センシングやロボティクスなども活用したスマートシティの実証実験の場となっています。中野 当社はAIやデジタル技術の活用・併用により付加価値のある事業を創り出すためのポイントは2つあると考えています。1つはデジタル技術と自社のマテリアリティーを掛け合わせて検討することにより、未来のビジネスチャンスを見逃さないことです。もう1つは社会課題解決などの目的を明確に設定し、その達成に向けてAIに限らずデジタル技術やITシステムと人間を組み合わせて試行錯誤することです。AIはあくまで技術の1つであって、それを課題解決に結び付けるため何を目的に、どう活用するのかといった組み合わせを考えていくことが肝になります。鹿島建設の取り組みを見ると、まさにそのポイントを押さえているからこそ、さまざまな領域でのAI活用を進められているように見受けられます。真下 中野さんのお話のとおり、AIを活用するうえで意識しているのは「新しいテクノロジーを導入すること」を目的にしないことです。AIはあくまでも生産性や業務効率の向上、お客様の課題解決のための手段の1つです。実現のために必要で最適な手段であれば、最新のテクノロジーも採用します。中野 AIも含めて、テクノロジーの活用において重要なのは、あくまで目的を達成するためのツール・手段にすぎないということですね。鹿島建設では、組織的にそのポイントがしっかりと意識されており、とても有効に機能している印象です。真下 必要なこと、求められていることに愚直に取り組んできたことで、テクノロジーに対する考え方が社内でも浸透してきたのではないでしょうか。デジタル推進室は、お客様や社内が困っていることをデジタルの力で解決することがミッションです。外部環境は激しく変化しています。またデジタルの進化はとても速く、明日を見通すのも難しい状況です。組織や人員は変化に合わせて適合していくことが重要であり、デジタル推進室も来年はまた違う組織形態になっているかもしれません。しかし、大切なのは目的です。お客様の課題を解決するために、今後も新たに登場するであろう技術を上手に活用していく姿勢を見失わないことだと思います。中野 業界内でも鹿島建設のDXへの取り組みはかなり注目を集めていて、社内でのデジタル推進室への期待も高まっていると思われます。とはいえ、これまで失敗もあったと思います。それでも改革が進んでいる理由はどこにあると考えていますか?真下 むしろ失敗の連続、トライ&エラーの連続です。多くの社員が果敢にDXやAIなど新しいことにチャレンジしているのは、当社に脈々と流れる「進取の精神」と、当社のありたい姿である「顧客の期待を超える価値を提供する」という目的があることと、小さな成功体験を繰り返してきたからだと思います。デジタル推進室は、社員のやりたい気持ちを大切にし、そのための環境を準備して支援することが大切だと考えており、デジタル推進室への相談もだんだん増えています。また、その範囲は国内にとどまらず、当社の海外現地法人からの相談も増えています。BIMやCAD(コンピューターによる設計)などの共通ツールをキーに海外スタッフとの情報共有や交流なども生まれています。中野 企業はともすれば「このテクノロジーでできることは何か」と考えがちですが、それでは今までやってきたことの延長に終始してしまいます。新たな価値を創出するために重要なのは「目的のためにテクノロジーをどう活用するのか」という発想の転換です。鹿島建設はまさに「何をやりたいのか」というところからスタートしていて、社員の方も挑戦しがいがあるのではないでしょうか。真下 どれだけテクノロジーが発展しようとも、結局カギになるのは、それを生かし、世の中を変えようという熱意を持った人材です。進展著しいデジタルは強力な武器であり、この新たな武器の活用力を向上するために教育研修や情報共有などさまざまな施策を実施しています。そういった人材が活躍できるように「失敗を恐れず挑戦できる」という文化を作ることが大切だと思っています。そのためには、一人ひとりの社員の挑戦を支援し、成功確率を高めるための施策をスピーディーに進めていくことが重要です。引き続き、お客様の課題解決やニーズを実現するために何をすべきかを考え、形にしていきたいと考えています。KPMGコンサルティングのホームページはこちらからKPMGコンサルティングの生成AI導入支援サービス

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