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〈現場は悲鳴〉シェフや料理人の「終電で帰宅、風呂に入って寝るだけ」の過酷すぎる日々と「年収500万円の壁」の高さ

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休憩もろくにとれないほどの忙しさに、山本さんは「私の努力不足。自分のやり方がまずい」と自分を責め立てた。そうした日々が続くうちに、心身に変調をきたす。

朝起きられなくなり、店に着く直前で体調が悪くなることもあった。最終的に山本さんは、2024年5月にその串焼き店を辞めた。

食は人間が生きていくうえで欠かせない要素だ。シェフや調理人が活躍する場は、レストランや料亭、ホテルだけにとどまらない。学校や保育園、老人ホームで給食を作ったり、病院で入院患者のために病院食を作ったりする人もいる。

しかし近年、食の現場に携わるシェフや調理人の数は急減している。

日本の飲食業界にはおおむね400万人が従事しているとみられる。そのうちシェフや調理人の数は、現時点の正確なデータがない。ただ、2023年に調理師免許を新規に交付されたのはおよそ2万3000人。これは15年前に比べて半分に過ぎない。

調理師免許交付数の推移

調理師とは、調理の仕事に従事する職人のことで、調理師法に基づき都道府県知事の免許を受けた者を指す。調理師免許がなくても調理の仕事はできるが、調理師免許の新規交付者の推移からシェフや調理人の数も年々減っていると推察できる。

料理人の社会的な地位が高くない

「10年ぐらい前から調理専門学校で生徒の募集を停止するケースが出てきた。2年ほど前からは、私が知っているだけでも6校ぐらいの調理専門学校が閉校している。料理人の社会的な地位がまだまだ高くないため、職業としての優先順位が低く、少子高齢化が進む中で料理学校は潰れやすい」

日本飲食団体連合会(食団連)の副代表理事を務める山下春幸氏は、育成現場で起きている危機的状況を語る。山下氏はレストラン「HAL YAMASHITA東京本店」のエグゼクティブシェフだ。

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