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【独占インタビュー】シャープ社長「AIサーバーとEVを育てる」の真意→白物家電の生き残り策と複合機再編、10年後にシャープが目指す姿とは

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「『目の付けどころが』と言ってもらえる商品を作りたい」と語った沖津雅浩社長(撮影:今井康一)

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経営危機を経て、EMS(電子機器受託製造サービス)最大手の台湾・鴻海精密工業傘下に入って以降、度重なる方針転換や、環境の変化に翻弄されてきたシャープ。その舵取りを2024年から担うのが、沖津雅浩社長だ。親会社である鴻海との関係、白物家電の展望、10年後のシャープの姿まで語り尽くした。(関連記事はこちら

――2016年8月にシャープは鴻海の傘下に入りました。当時、どのように受け止めましたか?

私は白物家電の本部長だった。白物はずっと成績が悪く、2000年代はほぼ赤字すれすれの10年。だから鴻海が言っていたコスト削減「節流(せつりゅう)」なんて当たり前のことで、少なくとも私がいた本部は「もうやってますけど」みたいな雰囲気だった。

最初は鴻海のメンバーがシャープの海外工場にまでたくさん来て、調達などもごちゃごちゃかき回された。鴻海は受注してから生産するというEMSのビジネスモデルで、市場を予測して作るということを知らなかった。トップが「やれ」と言えば何も知らずに「ガーン」と作って、売るのは後から考える。

白物家電というのは素人でもモノがわかるから、面白いと思うんやろうね。CMさえ打てば「売れる」と錯覚してたみたいやけど、それで売れるのは1~2週間程度。すぐ平常に戻ってしまう。

とにかく彼らは家電に関してはまったくの素人で、せっかく空気清浄機で稼いでいた中国事業の利益がゼロになり、ブランドも弱くなり、中国事業は潰されてしまった。まあ、中国だけで済んでよかったですわな(笑)。

研究開発の人員は4分の1に

――鴻海傘下入り後、家電よりも液晶への投資が優先されていたように見えます。

いや、白物家電は昔から(研究開発費が)少ない。液晶やテレビ、携帯電話にみんな資金がいってて白物にはほとんど来なかった。全社でみたら、(傘下入り前後で)研究開発の人員は4分の1ぐらいになっているかもしれない。

それに節流で7年ぐらい広告もストップしていたので、時代の流れに遅れているところがある。今になって「使え」といわれても、現場は使い方がわからない。

ネットで書かれると影響が大きい時代なので、(家電などを含む)ブランド事業ではどのように広告を使うかを意識する必要がある。

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