サムスン急浮上で異変「ソニー半導体」の岐路。イメージセンサー王者は覇権を維持できるか
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「なにぶん今朝、報道が出たところで、真偽も含めて社内で議論していく内容だ」
ソニーグループで経営企画管理などを担当する堀井直也・執行役員は、米アップルが韓国サムスン電子から「革新的な製造技術を導入したiPhone向けチップ(半導体)の供給を受ける」と発表したことについて、8月7日の決算説明会でそう繰り返した。
アップルの発表は想定外
これまでソニーの独壇場だったiPhoneのカメラに搭載されるイメージセンサーが、一部でもサムスン製に置き換えられれば一大事だ。ソニーとしての認識を問われた堀井氏は「一部想定、検討していた部分はあるが、それに対する全部の答えは持ち合わせていない」と話した。要するに、ソニーにとってこの日のアップルの発表は想定外だったということだ。
ソニーのイメージセンサーは、モバイル向けで長らく圧倒的なシェアを握ってきた。そして次の成長領域として狙いを定めるのが、車載向けだ。これから起きるゲームチェンジで、覇権を握り続けることはできるのか。ソニーの半導体事業は岐路を迎えている。
突然の発表から1カ月半後の9月25日、ソニーグループの十時裕樹社長は、半導体事業会社のソニーセミコンダクタソリューションズの指田慎二社長、大池祐輔CTO(最高技術責任者)らと共に、横浜にあるアップルの開発拠点を訪れていた。来日していたアップルのティム・クックCEOらと面会するためだ。
同席した関係者によれば、クックCEOらアップル側からソニー側に向けて「皆さんのおかげで今がある」と協力関係に対する感謝の言葉が伝えられたという。
アップルはソニーの半導体事業にとって最大の顧客だ。現行のiPhoneに搭載されているカメラのセンサーはすべてソニーセミコンの製品。そのiPhoneは毎年2億台以上を売り上げるアップルの看板商品だ。証券会社や調査会社による試算では、ソニーの半導体事業の売上高のうち約7割をアップル向けが占める。



















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