ソニーセミコン指田社長が明かすイメージセンサー事業の成功法則。「勝ち馬を見極め関係を構築する」
エンタメシフトを進めるソニーグループの中で唯一、巨額の設備投資を必要とする半導体事業。イメージセンサーでトップシェアを維持するために、競争力をどう高めていくのか。ソニーセミコンダクタソリューションズの指田慎二社長に聞いた。
──8月に韓国サムスン電子がアメリカで製造した半導体をアップルに供給すると発表しました。ソニーはアメリカに半導体工場を建設しないのですか。
現時点でアメリカに工場を建設する具体的な計画はない。ただ、アメリカへの投資にはさまざまな方法がある。この種の議論はトランプ政権下で関税問題が浮上したときから、つねに行ってきている。
例えばソニーはイメージセンサー製造において、(ロジック部分など)一部は外部から調達している。そうしたパートナー企業と協業し、彼らがアメリカ内に持つ設備を活用するという選択肢も理論的にはある。今後の環境変化に柔軟に対応したい。
──イメージセンサーのシェア低下が懸念されています。
われわれのビジネスにおいて、未来永劫100%のシェアを維持できるという契約は存在しない。重要なのは「こういうカメラを作りたい」という具体的な要望に対して、ロードマップに沿って順調に技術開発が進んでいるという証拠を示し続けることだ。
すべてうまくかみ合った
──ソニーがモバイル向けの半導体事業で、圧倒的な地位を築けた理由は何だと考えますか。
技術、製造、販売。この3つがすべてうまくかみ合ったことが、モバイル事業の成功につながった。
まずは技術。CCDで培った技術を他社に先駆けてCMOSイメージセンサーにつぎ込むことで、基盤を作った。スマートフォンというサイズの限られた筐体に、小さくても高性能なセンサーを搭載する技術にも長けている。
次に製造の面では、スマホという何億、何十億単位の巨大な需要の先読みが極めて難しい市場に対して、採算を確保しながら的確な投資判断ができたことだ。



















無料会員登録はこちら
ログインはこちら