ニデック「不適切会計」疑いで上場維持に黄色信号、業績見通し取り下げ、中間配当ゼロで株価は急落
日本取引所グループ(JPX)は10月28日、不適切会計の疑いで第三者委員会が調査しているモーター大手のニデックを「特別注意銘柄(特注)」に指定した。
ニデックが第三者委員会の設置を決定したのが9月3日。未提出になっていた2025年3月期の有価証券報告書(有報)を提出したのが9月26日だ。有報は事業年度終了後3カ月以内(ニデックの場合は6月末まで)の提出が義務づけられているが、同社は提出期限を延長していた。
監査報告書「意見不表明」の意味
延長期限ギリギリにようやく提出されはしたものの、ニデックの監査法人を務めるPwC Japanは監査報告書において、その適正性について「意見不表明」としていた。監査報告書には、ほとんどの場合「無限定適正意見」が付されるが、不適切な会計処理が確認された場合などに、「限定付適正意見」や「不適正意見」が表明されることもある。「意見不表明」とは、何らかの意見を表明するための証拠を監査法人が十分に収集できなかったということだ。
日本公認会計士協会の鈴木真紀江常務理事は「経営者には財務諸表を作成する責任があり、監査人には意見を表明する責任がある。3種類のうちどの意見がついているのかというのは、意見を表明しないという結論も含めて、財務諸表利用者にとっての情報の一部になる」と話す。
ニデックで第三者委員会の調査が行われる中、10月23日には26年3月期の中間配当の中止を決定、期末配当予想と連結業績予想も未定と会社側が発表した直後の特注指定となった。一連の発表を受け、ニデックの株価は低迷している。10月28日の取引開始後、約20%下げてストップ安となった。不適切会計疑いの生じる前は業績も好調とされ、3000円台前半をつけていたが、足元では2000円を割り込んだ。



















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