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【独自】ニデック、知られざる「不適切会計」疑惑の全貌、旧日本電産サーボ、旧エンブラコ・ブラジルでいったい何が起きていたのか

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2022年当時、日本電産(現ニデック)では「不適正な経理処理」が発覚するたびに「王道経営の徹底」が説かれていた(編集部撮影)

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連載の第2回で指摘したように、ニデック創業者でグローバルグループ代表の永守重信氏の経営手法は、高い業績目標を掲げ、「計画未達は罪悪、赤字は犯罪」と社内にプレッシャーをかけ、「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」と迫り続けるというものだった。
ニデックは買収したグループ会社にもこの経営哲学を浸透させ、驚異的な成長を実現させてきた。しかし、同時にグループ会社の現場は疲弊し、看過できないひずみも生まれていた。
第3回は、グループ会社の現場で起きていた「不適切会計」の実態にジャーナリストの竹中明洋氏が迫る。

「こんな数字では会長が許さない。何とかしろ」

2022年当時、日本電産(現ニデック)の元幹部社員はある日、上司にそう迫られた。日本電産では本社各部門の業績管理部がグループ会社の業績データを吸い上げて経営幹部に報告し、最終的に永守重信会長(現グローバルグループ代表)に報告が上がる。

元幹部社員は、朝から夕方まで世界中のグループ会社と会議をしながら業績をまとめていた。この数字を上司に報告したところ、冒頭の言葉を投げかけられたのだ。

「いったいどうすればいいのか」――。途方に暮れる元幹部社員に、上司は「数字を作り直せ」と言い放ったという。

当時、日本電産社内では計画目標と実績の差を「借金」と呼び、各部門でその扱いが課題となっていたという。元幹部社員はこう証言する。

「会長に怒られないような報告を上げるため、二重、三重に帳簿をつけながら毎日のように『借金』へ対応に追われていた。その作業は土日や祝日にも及ぶ。でも、ヨーロッパの労働法規が厳しい国では現地社員を付き合わせるわけにはいかない。日本人駐在員が『これぐらいかな』と鉛筆をなめなめ数字をいじりながら本社に業績を報告していた」

「違算」の背景に広がる闇

日本電産には「違算(いさん)」という社内用語があった。本社とグループ会社間で取引の時期をずらして売り上げなどを計上する手法が使われたため、本社とグループ会社それぞれで計上する数字にズレが出てくる。このズレを「違算」と呼んでいたのだ。財務担当者は毎期のように「違算」の解明に四苦八苦していたという。

それだけではない。冒頭とは別の元幹部は「機械の減価償却期間を延ばしたり建設仮勘定を使って労務費や研究開発費を資産計上したりする手法が取られていた」と証言する。これらは直ちに「不適切」「粉飾」とはいえないが、当時の日本電産本社、グループ会社では根拠不明の怪しげな数字が飛び交っていたことは間違いないようだ。

ニデックが今回公表したように、恣意性のあるグレーな手法が本社の各事業本部や国内外のグループ会社に定着していた可能性がある。

筆者の手元には、永守氏自身が不適切と認識した、あるいは会社として不適切と断定した会計・経理処理がグループ内で広く行われていたことを裏付ける内部資料がある。

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