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「今般発覚した会計不正について最も責めを負うべきなのは、永守氏であると言わざるをえない」
第三者委員会は、249ページに及ぶ調査報告書でそう結論づけた。永守氏とは言うまでもなく、2月26日に名誉会長を辞任したニデック創業者、永守重信氏のことだ。
不正会計の背景には、営業利益目標の達成に向けた強すぎるプレッシャーがあったと第三者委員会は認定した。永守氏の苛烈なプレッシャーは、役員から事業部門の幹部、子会社の幹部へと滴り落ち、車載事業をはじめあらゆる事業体で不適切な会計処理を生んだ。そして、永守氏はその処理を黙認していたと、第三者委員会は結論づけたのだ。
第三者委員会が350以上に上るグループ拠点をくまなく調査した結果、無数の会計不正が明らかになった。棚卸し資産の評価損を恣意的に計上しない、固定資産の減損回避、人件費の費用計上の先延ばし、政府補助金の還元に係る引当金の不正な戻し入れ、不良債権の貸倒引当金の未計上などなど、その手口は枚挙にいとまがない。
比較的最近グループ入りしたニデックオーケーケー(2022年2月買収)やTAKISAWA(23年11月買収)でも、棚卸し資産の評価損計上回避、負ののれん発生益の計上回避などの不正会計が見つかった。
25年6月末時点で見積もられる純資産への負の影響額は約1397億円、追加計上される可能性がある減損損失は2500億円規模に上る。25年3月期の営業利益は2381億円。どのように計上するかは不明だが、2500億円全額計上すれば単純に1年分の儲けが吹き飛ぶような額になる。
不正会計の根元
第三者委員会設置のきっかけになったのはニデックが社内で「負の遺産」と呼んでいた、資産性に疑義のある資産の存在だ。業績目標達成のために資産の減損回避などが行われ、それが滞留したものだ。
16年末ごろから「資産健全化プロジェクト」によって処理が進められたが、その処理に当たっては、発生する損失を新たな収益でカバーすることが求められた。これをニデック社内では「セルフファンディング」と呼んでいたが、この過程で無理に収益を捻出したり、損失を糊塗(こと)したりする不正が本社、子会社問わず横行するようになった。
22年度第4四半期には1600億円の「負の遺産」が明らかになったが、永守氏が22年度通期営業利益が1000億円を下回らないようにする方針を取ったことから、「負の遺産」の多くは処理対象から外れ、さらに恣意的な会計操作が行われていくことになる。





















