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【独自】ニデックの信用格付けを主力銀行が引き下げ、6000億円コミットラインなど手厚い支援の陰では「非公開化」のシミュレーションも

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不適切会計の調査結果が示されない中で、三菱UFJ銀行と三井住友銀行はそれぞれ3000億円ずつのコミットメントライン締結に踏み切った(写真左:今井康一、右:梅谷秀司)

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創業者の永守重信グローバルグループ代表が非常勤の名誉会長に退くことが発表され、大揺れのニデック。不適切会計疑惑の真相が明らかにされないまま、主力銀行2行が計6000億円に上るコミットメントライン(融資枠)を設定したことは業界関係者を驚かせた。財務に関する1次情報を豊富に持つ銀行は、「ニデックの財務基盤は盤石で、急速な業績悪化も考えづらい」(主力銀行関係者)と早々に結論づけたのだ。ただし、財務の健全性とガバナンスの問題は切り離して考える必要がある。実際、銀行も脆弱なガバナンス体制に懸念を持っており、これを理由に信用格付けの引き下げに動き始めた。

不適切会計問題に揺れるニデックをめぐり、取引銀行が融資判断の重要な指標である信用格付けの見直しに動いていることが東洋経済の取材でわかった。

主力銀行の1行は2025年11月、ニデックが抱える「ガバナンスリスク」と「監査リスク」を重くみて、同社の信用格付けを2段階(2ノッチ)引き下げたのだ。イタリアや中国の子会社で相次いで発覚した不適切な会計処理の疑いは、ニデックが長年にわたり積み上げてきた「信用」をむしばみ始めている。

小さくない「移行リスク」

東京証券取引所から「特別注意銘柄」に指定されているニデックは、その解除に向けて、26年1月下旬に日本取引所グループ(JPX)に対して内部管理体制の改善計画を提出する予定だ。不適切会計の疑いが明るみに出て以降、同社は社長室や最高法務責任者(CLO)のポストを新設して、グローバルに分散する各拠点の管理強化や法務・税務リスクへの対応強化を急いでいる。

だが、こうした対応を取っても「ニデックの根深いガバナンス上の課題を解消できるかは不明瞭だ」(主力銀行関係者)。12月19日に辞任した永守重信元代表の強烈なリーダーシップ(ワンマン体制)の下で成長を果たしてきただけに、「永守氏が退任した後の体制移行リスクも小さくない」(同)。こうしたガバナンスリスクを理由に、ニデックの信用格付けがまず1ノッチ引き下げられた。

それだけではない。ニデックを監査するPwCジャパンは、25年3月期の有価証券報告書と25年4〜9月期の半期レビュー報告書について「意見不表明」としている。不適切会計の真相を究明している第三者委員会の調査結果によっては「不正」と結論づけられる懸念があるほか、過年度決算の大幅な修正やさらなる減損処理に発展するリスクもはらむ。

仮に、会計不正と認定されて株価が大きく下がるような事態になれば、集団訴訟に発展する可能性も否定できない。こうした監査リスクも踏まえて、格付けはさらに1ノッチ引き下げられ、計2ノッチの格下げとなった。

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