特集「半導体新次元 「フィジカルAI」の勝者は誰か」の他の記事を読む
今年に入り、AI(人工知能)をロボットに組み込み、現実世界で動かす「フィジカルAI」が注目を集めている。普及は数年先とされる中、投資家らが物色しているのがヒューマノイド(人型ロボット)向け部品市場だ。
この領域で注目を集めているのが、1970年設立で小型精密減速機の分野で世界シェア首位を握るハーモニック・ドライブ・システムズ(以下、ハーモニック)。2025年度の売上高570億円、営業利益15億円を見込む中堅企業ながら、時価総額は4000億円を上回る(26年3月時点)。
主力製品は、創業時から磨き続けてきた減速機の波動歯車装置「ハーモニックドライブ」。丸山顕社長が「基本特許が切れてなお、これほど長く用いられる部品は稀だ」と自負するように、自動車から航空宇宙まで用途は幅広い。
減速機はロボットの関節に搭載され、動作精度に直結する重要な部品だ。とくにヒューマノイド1体当たりの減速機搭載数は、従来の産業用ロボットの約6~10倍に上るともされる。どれほどAIが進化しても、関節の歯車が精巧でなければ、指先の精密な動きを実現できない。
同社は2月、東証スタンダード市場からプライム市場へ区分変更した。ここにきてアクセルを踏み込む背景には、部品市場への成長期待がある。
ただし競争環境は激化している。大型減速機大手のナブテスコが中小型領域へ参入したほか、コストを武器とする中国メーカーも猛追する。押し寄せる競合を退け、ハーモニックは首位の座を守り抜けるのか。丸山社長を直撃した。
最悪期を脱した
――2月27日に東証プライム市場へ区分変更しました。スタンダード市場から移行した狙いとは。
会社として「いずれはプライムへ」という共通認識はあった。以前、旧ジャスダック(1998年上場)からの市場再編でスタンダード市場を選択した際にも、実はチャンスがなかったわけではない。だが、プライムへ上がるにはそれなりの体制整備や厳しい審査が必要で、およそ2年かかる。だから、いったんスタンダードにとどまり、準備を進めてきた。
結果として、タイミングはとてもよかったと思っている。この2〜3年は、FA(ファクトリーオートメーション)やロボットの市況はつらい時期だった。だが、ようやく昨年末あたりから、半導体関連を中心に間違いなく回復基調にきている。最悪期を脱し、これから成長局面に入るというタイミングで上場できたのは幸運だった。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら