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船もなければ人もいない、造船復興が絵空事となりかねない深刻事情。海事産業の土台となる教育は先細りに直面

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造船復興には人材育成が欠かせないが、日本の海洋関連の教育には課題が山積している(写真:Dyelmanov/PIXTA)

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このままでは10年後には最先端の船が開発できなくなる。造船業復興に向け、次世代人材の育成は急務となっている。課題は高度人材の確保だが、実際の教育現場ではどのように考えているのだろうか。

造船・海運関連の学生を育成している横浜国立大学大学院環境情報研究院の村井基彦教授は、「円高などで苦境に陥った30年前から考えると、造船業界はまだきちんと残っている。合併による合理化はあったが、電機産業などと比較しても、目立った会社倒産はなく、実は業界としては安定している」と分析する。

実際、国内首位の今治造船は複数の造船所を傘下に収め、2024年度の竣工量は308万総トンに達する。JFEホールディングスやIHIの造船部門が統合し、26年1月に今治造船子会社となったジャパン マリンユナイテッド(JMU)も業界再編を経て経営基盤を強化している。村井教授は「(造船系の)大学で学生と話をしてみると、実は親が造船関係に従事しているというケースが少なくない。親子で造船業界に対してマイナスのイメージを持っていない証拠ともいえる」と、親世代の強い信頼感があると語る。

幅広く活躍できる「造船人材」

造船業界はホワイトカラーの技術者、ブルーカラーの技能工を含めて全体で6万~7万人程度の規模といわれている。その中で、造船学を学んだ学生は「造船所に就職する場合は技術者として採用される。基本設計や研究部門、マネジメント部門などに配属される場合が少なくない」(村井教授)。

ただ、船を利用する側の海運業に就職する場合もあり、「技術部門で、新造船の計画・図面承認・建造管理業務を担当するケースも多い。造船会社との橋渡し役として、技術的な知識を生かした業務に従事する」(村井教授)という。

さらに「マクロエンジニアリングの考え方、つまり一部分ではなく全体最適を重視する教育を受けているため、造船業以外にも幅広く製造業に就職することができる」(村井教授)という。学生の進路の選択肢は幅広く考えなければならず、必ずしも造船業界だけで独占することはできないのが現状だ。

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