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世界受注7割を握る中国造船の「多層構造」とは? 巨大国有企業と強い民営企業が折り重なる「製造大国」 のリアルと人材育成力

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地経学研究所の土居健市主任研究員は、造船関連の人材育成環境が中国と日本では「まったく異なる」という(撮影:尾形文繁)

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世界の造船業において中国が圧倒的な存在感を示している。新規受注ベースで世界シェアの7割を占める。国家戦略として育まれた中国造船業の実態と今後について、民間の独立系シンクタンク・地経学研究所の土居健市主任研究員に聞いた。

──中国の造船業の現状を教えてください。

中国造船業のプレゼンスはグローバルで非常に高まっている。量の面では「造船超大国」と言ってもいい状況だ。新規受注では世界の7割、竣工実績では半数以上、手持ち受注でも3分の2近くを占める。造船の3大指標すべてにおいて5割以上のシェアを持つ。

造船業は日中韓の東アジア3カ国で世界の9割以上の受注を押さえており、韓国や日本も主要な造船国といえる。ただ、その中でも中国には圧倒的な存在感がある。

質の面でもかなり高まってきている。LNG船やメタノール船といった脱炭素対応船の生産を主戦場にしてきており、大型コンテナ船などの高付加価値船も受注を伸ばしている。中国は「安かろう、悪かろう」というイメージがあるが、量が大きくなり参加者が増えると必然的に競争も生まれる。中国企業同士がしのぎを削り、淘汰を繰り返し残った企業は質にもフォーカスを当ててきた企業だといえる。

WTO加盟が転機に

──中国では2006~13年にかけて14兆円もの補助金を出して造船業を育成しています。造船業はどう発展してきたのでしょうか。

国家戦略と国際マーケットの状況がうまくかみ合った結果といえるだろう。 01年の中国のWTO(世界貿易機関)加盟が大きな転機となった。貿易環境が活況を呈し、海運需要も高まった。おおむね03年以降の数年間は世界の造船需要も高まり、それに乗る形で成長した。

中国は造船を戦略輸出分野として位置づけてきた。もともと造船は1949年の中華人民共和国の建国以来、重視していたセクターだったが、経済発展に伴い財政基盤が確立されていったことで、産業補助金を投入する原資ができてきた。そして一気に育てることができる局面に入っていった。

ただし、補助金で下駄を履かせたから企業が楽に儲かったとは限らない。一気に参入した有象無象の企業が競争を通じて淘汰された。08年の世界金融危機で海運需要が低迷し、淘汰された企業も多い。今ある企業は、そうした厳しい環境や時代を経た競争力のある企業だ。 時系列で見ると中国は08年に建造量で日本を抜き、10年に韓国を抜いて世界一の造船大国になった。

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