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日本の消費者が知るべき、台湾の劣悪なマグロ漁船労働。1週間に1人が事故や行方不明に、給料不払いも。インドネシア人船員が語る深刻な実態

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台湾漁船の労働条件の改善に取り組むFOSPI-PMFU(インドネシア船員の集いフォーラム・ピンタン移住労働者組合)のメンバー。後列一番右がムジャキール氏(写真:施逸翔氏提供)
日本人の食卓を彩るマグロ。その多くが台湾から輸入されている。「一般社団法人 責任あるまぐろ漁業推進機構」によれば、日本への冷凍マグロ類の輸入数量のうち、台湾のシェアはメバチマグロで44%、キハダマグロで27%、ビンチョウマグロで59%と、国・地域別でいずれも首位となっている(2024年、原典は財務省貿易統計)。しかし、台湾のマグロ漁業をめぐる労働環境は極めて厳しく、賃金の不払いや長時間にわたる重労働、労働災害の多発などの問題が指摘されている。
インドネシア人の遠洋マグロ漁船乗組員として台湾の漁船で働き、現在はインドネシア人漁業労働者の交流組織の幹部を務めるアフマッド・ムジャキール氏および外国人漁業労働者らを支援する国際労働団体グローバル・レイバー・ジャスティスの活動家ザッカリー・エドワーズ氏にインタビューし、遠洋マグロ漁業における人権問題の現状と解決策について聞いた。

──まず、自己紹介をお願いします。

ムジャキール 私はインドネシア人の漁船乗組員で、20年にわたって台湾で遠洋漁業や沿岸漁業に携わってきた。最初の8年間はマグロ漁などの遠洋漁業に、残る12年間は台湾の沿岸漁業に従事してきた。

他方、FOSPI-PMFU(インドネシア船員の集いフォーラム・ピンタン移住労働者組合)で2018年から25年6月まで会長職を、現在はFOSPIで書記長を務めている。FOSPIには現在、約1050人のメンバーがいて、お互いに助け合いながら労働条件の改善に向けて取り組んでいる。

エドワーズ 私はグローバル・レイバー・ジャスティス(GLJ)という労働者権利団体で、水産物業界における労働者の権利問題のキャンペーン活動に従事している。これまで、欧米や日本における水産物市場の現状や、企業による水産物調達の実態に関する調査にも関わってきた。

劣悪なマグロ漁船の労働実態

──台湾のマグロ漁船の労働問題について、日本で発言をするのはなぜでしょう。

ムジャキール 日本は台湾の漁船によって漁獲されたマグロを世界で最も多く輸入している国だ。台湾における私たち外国人労働者の労働実態や人権状況について、日本の水産関係者や消費者の皆さんに知っていただきたいと思ったからだ。

私たちインドネシア人を中心とする外国籍の遠洋マグロ漁船乗組員は、劣悪な労働環境で10カ月にも及ぶ長期にわたる労働を強いられ、その間、家族とも連絡が取れず、給料も支払われないといった問題にしばしば直面してきた。そうした実態について知ってもらい、台湾政府や台湾および日本の水産業界の企業に、事態の改善を働きかけてほしいと思っている。

アフマッド・ムジャキール/台湾・東港で働く1000人以上のインドネシア人を組織する労働組合FOSPI-PMFUの書記長。漁業および水産加工業界で20年以上働いてきた経験から、移民漁師たちの組織化、エンパワーメント、権利擁護のために活動する(写真:シーフードレガシー)
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