世界で最も劣悪な「台湾マグロ漁船労働」の実態 日本の食卓を飾る水産物の知られざる人権問題

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台湾の遠洋漁業に従事するインドネシア人労働者(提供:FOSPI)
日本は台湾産マグロ類の主要な輸入国だ。「責任あるマグロ漁業推進機構」によれば、メバチマグロやビンチョウマグロなどの魚種では、冷凍魚の輸入量の5割以上を台湾産が占めている(2023年貿易統計を元に同機構で集計)。刺し身用クロマグロでは台湾産の大半が日本に輸出されているという。日本は年間10億ドルもの台湾産水産物を輸入し、台湾にとって最大の水産物市場となっている。
しかし、遠洋漁業に従事する台湾漁船での労働は過酷で、外国人労働者に対する賃金不払いや適切な医療が受けられない、まともな食料も配布されないといった人権侵害が横行している。パスポートを取り上げられ、家族と連絡も取れないまま、1年にもわたって船上での労働を強いられるといった問題も発生している。
そうした中、「船内でWi-Fiを利用して家族や仲間たちとコミュニケーションする権利を保障してほしい」と、台湾の漁船に乗って遠洋漁業に従事するインドネシア人などの労働者が、国際的な人権団体とともにキャンペーンを展開している。
2024年10月、「東京サステナブルシーフード・サミット2024」およびアジア太平洋資料センター主催のセミナーへの出席のために来日したインドネシア人漁業労働者の交流組織の幹部であるハディ氏および彼らを支援する国際人権団体グローバル・レイバージャスティスの活動家であるヴァレリー・アルサガ氏にインタビューし、遠洋漁業労働の実態や、日本の消費者や企業の責任について聞いた。

 

台湾で漁業労働者の人権擁護に取り組む

──まず自己紹介をお願いします。

ハディ 私はインドネシア出身で、台湾で遠洋漁業に18年以上たずさわっています。「インドネシア船員の集いフォーラム」(FOSPI)という団体の創設メンバーで、台湾で移住労働者の権利獲得のために活動しています。FOSPIには2300人以上のメンバーがいて、お互いに助け合いながら、労働条件をはじめとした人権状況の改善に取り組んでいます。

アルサガ 私はグローバル・レイバー・ジャスティスという国際人権団体で移住労働者の権利を守る活動に従事しています。メキシコで生まれ、アメリカで育ち、グローバルな労働運動に20年ほどかかわっています。

東京サステナブルシーフード・サミット2024でスピーチをするヴァレリー・アルサガ氏(左から3人目)。その右の人物がハディ氏(提供:シーフードレガシー)

私たちの組織には主に3つの目的があります。

1つ目は、非常に複雑なバリューチェーンの底辺に位置づけられている労働者を支えること。重層的に搾取をされている、そうした人たちの組織化を進めています。

2つ目は、活動する国において、パートナーとなる団体や支援者を見つけ、労働者および移住者としての権利を獲得すること。

そして3つ目は企業に対するキャンペーンの展開です。台湾ではWi-FiキャンペーンをFOSPIと連携して進めています。

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