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ソニーやバンナム、大手出版社が相次ぎ出資する謎のスタートアップ「ガウディ」の石川代表を直撃、掲げる「ファン国家」構想の知られざる実態

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アニメやエンタメビジネスの関係者から「何をしている会社なの?」と聞かれることが増えてきたGaudiy(ガウディ)。そのオフィスは東京・渋谷区笹塚にある(記者撮影)

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ソニーグループ(G)、バンダイナムコホールディングス(HD)、サンリオ、講談社、集英社、小学館、三菱UFJフィナンシャル・グループ、みずほフィナンシャルグループ――。多数の大手企業が出資するスタートアップがある。その名も「Gaudiy(ガウディ)」。
設立は2018年5月。約7年間で従業員は113人(2025年3月末時点)にまで成長、今年5月にはバンダイナムコHDとソニーGから総額100億円というスタートアップとしては破格の資金調達を実現した。
ソニーGの御供俊元・最高戦略責任者(CSO)は、ガウディの石川裕也代表について「技術に対する見識が深く、IP(知的財産)に対する愛情も強い」と形容する(関連記事)。石川代表を中心とするガウディとはいったい何者なのか。石川代表とのインタビューで、その正体に迫る。

「ファン国家」というビジョン

――ガウディはそもそも何をしている会社でしょうか。

ガウディはエンターテインメントを中心とした会社ではありません。エンタメは日本で最も重要な産業だと考えていますが、われわれにとってのエンタメはあくまで世界を変えて、理想とする社会を実現するための1つの手段です。

ガウディのベースにあるのは「ファン国家」というビジョンです。

――ファン国家とは?

台湾のオードリー・タン氏らが主張する「プルラリティ」が代表的ですが、資本主義や民主主義、国家のあり方を改善し、貧困、戦争などの問題を解決できる社会のあり方がさまざま提案されています。

私たちが考えているのはファンダム(熱心なファンの集まりやそれによって生まれた文化)やエンタメ、IPと最新の技術を組み合わせることで、理想とする社会を実現できるのではないか、ということです。

そのために、ガウディはいくつかの事業を会社として行っています。

――どんな事業ですか。

ホールディングスであるガウディを含め、6つの法人があり、今後さらに法人化する予定の事業を含めて、事業内容は7つに分かれています。

Fanlink(ファンリンク)、My Anime List(マイアニメリスト)と、金融事業の法人はすでに公表しています。残りは公にしていませんが、領域としてはライブ事業、クリエイティブ事業と、AI研究事業です。

まずファンリンクの基本的な考え方は、それぞれのIPが自分たちのファンを自分たちで囲えるコミュニティを作る、というものです。このコミュニティをベースに、物販やゲームを展開したり、生成AIを使ったさまざまな機能を提供したりといったことができます。

例えば、ガンダムの「ビルダーズノート」というサービスには、ガンダムのプラモデルのファンに向けて、プラモデルを撮影する際に背景として使える画像をAIで生成するという機能があります。

これによって、ファンの方々の創造性を高め、共創を促し、ファンの方々自身の力によって、IPが成長できるようなコミュニティ作りを目指しています。

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