10月に開催された中国共産党第20期四中全会(中央委員会第4回全体会議)は、第15次五カ年計画(2026〜30年)に関する「建議」を採択した。第15次五カ年計画は、建議に沿って来年3月の全国人民代表大会で正式採択される見通しだ。建議の注目点の1つは、人民元の国際化とデジタル化に関するスタンスが前向きに変化したことだった。
建議は「人民元の国際化を推進する」とした。5年前の第14次五カ年計画の「人民元の国際化を着実かつ慎重に推進する」との表現と比べると、直截(ちょくせつ)的な言い方になった。「着実かつ慎重に」という言葉が削除されたのは、中国政府の人民元の国際化へのスタンスが再び前傾化したことを示している。
「人民元の国際化」という言葉が、政府・党の公式文書に最初に登場したのは、14年12月の中央経済工作会議のときである。「人民元の国際化を着実に推進する」とした。中国は国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)対象通貨に人民元が組み入れられるよう働きかけ、15年8月には人民元相場を市場実勢がより反映される仕組みに変更した。
ところが、この変更は実質的には人民元対ドル相場の切り下げを意味した。そのため市場の懸念を呼び資本の大規模流出を招いた。




















無料会員登録はこちら
ログインはこちら