中国指導部はアメリカと渡り合い、自分たちこそが国際社会をリードできることを示そうとしている。
習近平指導部は、8月末以来、重要な日程に追われた。習国家主席は、上海協力機構(SCO)首脳会議、中国人民抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利80年式典、「BRICS」オンライン首脳会議に出席した。9月29日には中央政治局会議を開催。10月1日の国慶節を経て、10月20~23日に四中全会を主宰した。会議は第15次5カ年計画の草案を審議した。
そして習氏は、10月30日に韓国の慶州を訪問してAPEC首脳会議に出席。重要日程のピークが、米中首脳会談だった。会談は関税やレアアース輸出規制に注目が集まった。中国政治の文脈を踏まえれば、会談の成果は、指導部の支配の正統性を支える統治実績に直結し、権力継承の行方にも関わる。
アメリカと渡り合う「大国」をアピール
指導部が必要としている実績とは、ピークアウトした経済を踏まえた国内需要の引き上げである。そのためには通商政策の予見可能性の確保は重要である。米中首脳会談直前の四中全会が審議した政策文書は、この意図を示していた。
指導部が求めるもう1つの実績は、覇権国・アメリカと渡り合う「大国」の姿である。指導部は「大国」を「世界の平和の問題に決定的な影響を与えるパワー」と定義する。会談前の9月に、SCO、抗日戦争勝利80年の式典を通じて中国は自らの友好国に安心を供与し、対抗する国家には抑止力を示し「大国」を顕示した。
米中首脳会談を経て、米中両国は、緊張緩和に動き出したようにみえる。だが、それは多くの対立点の解消を先送りしたにすぎない。




















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