プライベートクレジットへの警戒感。トライカラーなどの破綻でアメリカ金融システムの疑念が拡大。だが、待機資金も多く現在はまだ黄信号。
「ゴキブリを1匹見るとおそらくほかにもいる」というアメリカJPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOの発言は、瞬く間に拡散されるほど威力があった。ダイモン氏の言葉だからなおのことだが、強いマーケットが続く中、「どこかに穴がないのか」と疑心暗鬼で探している投資家たちの心中を言い当てたからにほかならない。
指摘されたのは事業開発会社BDCなどによるデットやエクイティーのプライベートクレジット(PC)市場のリスクだ。アメリカのサブプライム自動車ローン会社であるトライカラー・ホールディングスが9月10日、自動車部品メーカーのファースト・ブランズが10月9日に、それぞれ10億〜100億ドル、116億ドルの負債総額を抱えて米連邦破産法第11章(チャプター11)適用を申請した。
トランプ大統領の移民政策がきっかけに
いずれも移民の創業者が、前者は主にヒスパニック系に自動車ローンをつけることで、後者は自動車購入後の整備などの市場をヒスパニック系に支えられることで事業を拡大した。トランプ大統領の移民政策が、こうした中堅中小企業を支える従業員や顧客を失わせたきっかけになった可能性はある。
しかも、そうした融資がPCの金融商品として打ち出され、大きく展開していった。PC市場は、現在グローバルで2兆ドルを超え、1ドル150円換算でも300兆円というとてつもなく大きな市場になっている。規制にがんじがらめになった大企業と大手金融機関間のそれとは異なり、中小企業向けの資金供与は、誤解を招くことをおそれず言えば抜け道が多く、収益を狙える市場となったわけだ。




















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