「失敗ができない日本」が変わらなかった特殊事情 会社の倒産で経営者も自己破産に追い込まれた

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(撮影:今井康一)

日本の経済成長を妨げている原因のひとつに、日本独自の銀行融資のルールがあるといわれて久しい。銀行が企業に融資する場合、保有する不動産や金融資産等が担保として提供されることが多く、資産をあまり持たないスタートアップ企業や中小企業の場合、企業の経営者やその親族に対して、自己保有の不動産や預貯金などを「個人保証」として担保の一部に組み入れることが多い。

こうした金融機関の融資ルールは、万一その企業が経営破綻などに追い込まれたときには、経営者や連帯保証人となった親族等が、担保として差し出した資産を債務の補填として手放さなければならず、場合によっては、すべての資産を失う悲劇が繰り返されてきた。しかし、こうした融資のスキームは日本特有のものであり、海外では個人保証を必要とする融資などは特殊なケースに限られる。

個人保証に一定の歯止めをかけられるか…

国際的に見て非常識な金融融資のスキームは、近年、その改善策がさまざまな形で議論され、政策として実施されてきたものもある。実際に、2024年の6月7日には「事業性融資の推進等に関する法律(事業性融資推進法)」と呼ばれる法律が参議院で成立し、法的に定められた新しいルールとして、個人保証に一定の歯止めをかけられるかもしれないと期待されている。

なぜ日本の銀行は、個人保証に頼って融資してきたのか……。その背景には、日本の銀行の金融融資に対する審査レベルの低さが、長年にわたって指摘されてきた。それでも、銀行によってはきちんとした企業価値の査定ができる人材が不足し、結局、旧態依然とした担保や個人保証に頼った形での融資額が決められてきた現実がある。

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