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LINE相談に駆け込む“令和の若者世代“壮絶な孤独―「親が奨学金を使い込む」「親の介護」セーフティネットから漏れた若者に寄り添うNPO

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認定NPO法人D×Pの今井紀明代表。団体名は「Dream(夢)times(×)Possibility(可能性)」の意(左写真:D×P、編集部撮影)

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NPOの実態は玉石混淆ともいわれるが、認定NPOはガバナンスや情報公開の義務と引き換えに、寄付に対する税控除を認められた団体だ。全国に約5万あるNPOのうち、認定を受けているのは約1200団体。本特集では、NPOや社会起業家の現状を正しく知り、理解を深める手がかりとして、活動内容や理念、財務、ランキングデータなどを取り上げていく(末尾に法人の概要を掲載しています)。

13~25歳の若者世代の孤立に向き合い、「ひとりひとりの若者が自分の未来に希望を持てる社会」を目指して活動するのが、認定NPO法人のD×P(ディーピー)だ。

今井紀明氏を代表として2012年6月にNPO法人として設立し、2015年6月に認定NPO法人を取得。経常収益の約90%が寄付収入による寄付型のNPOだ。

現在の主な活動内容は2つ。LINEを活用した若者向けのオンライン相談窓口「ユキサキチャット」と、大阪有数の繁華街である難波や「グリコ」の看板下(通称グリ下)に集まっている若者が安心・安全に過ごせるユースセンターの運営だ。

窓口は電話や対面ではなく、あえてLINEに

「親に奨学金を使い込まれている、あるいは親の介護をしているなど自分の親を頼れない子どもや若者は、福祉の支援が届きづらい。また、若年層にとって電話や対面の相談窓口は行く時間がなかったり、心理的なハードルが高かったりするため、オンラインの相談窓口が必要」

D×Pの今井紀明代表は、若者のセーフティーネットの現状をそう指摘する。

D×Pが運営するユキサキチャットは、親や周囲を頼れない若者がLINE上で自身の状況を相談できるオンラインの窓口。相談内容に応じて行政や地域の支援への紹介、必要と判断される場合はD×Pが相談者に食料支援や現金給付も実施し、一人ひとりに合ったサポートを行う。

ユキサキチャットに登録する若者の数は約1万7000人。業務委託を含む20名程度の相談員が対応にあたる。「うちに相談に来た時点で、親からの虐待や借金、滞納など複数の問題を抱えている子が多い。軽度の相談はAIでも対応できるが、相談員による支援が不可欠だ」(今井氏)。

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