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LINE相談に駆け込む“令和の若者世代“壮絶な孤独―「親が奨学金を使い込む」「親の介護」セーフティネットから漏れた若者に寄り添うNPO

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今井氏は「学校を卒業したらすぐ就職するのが一般的と思うかもしれないが、そうではない現実もある。とくに繁華街で支援する若者は、就職までの道のりが皆さんのイメージより遠いのではないか」と指摘する。

D×Pが支援する若者のように、代表の今井氏もかつて周囲から孤立した経験がある。高校生のときに参加したイラクの子どもたちへの医療支援でイラクに渡航した際、現地の武装勢力に人質として拘束された。解放され帰国しても、「自己責任」の言葉で社会からバッシングを受けた。

「対人恐怖症や引きこもりを経験したが、自分は運よく周りの人に助けられ社会復帰できた。ただ自分は運がよかった、だけで終わらせたくなかった」(今井氏)

D×Pの2024年度の経常収益は2億8380万円で、そのうち約9割が寄付によるもの。D×Pでは法人・団体の寄付よりも個人寄付の割合が高く、単発寄付のほか、月額1000~2000円ずつ寄付する月額サポーターの支援が重要な財源となっている。

足元ではD×Pが取り組む社会課題や活動の認知が広がり、法人からも寄付などの問い合わせが増えているという。

「日本のセーフティネットは危機的状況」

資金使途の透明性も高い。2024年度は経常費用の約47%(事業費と管理費の合計)が給与手当・法定福利費といった人件費に充てられている。これは支援の利用急増によるスタッフの増員、従業員が持続可能に働けるための待遇改善を進めるためだ。

内部留保についても、半年~1年間は活動が続けられるだけのキャッシュは手元に残す方針としている。

D×Pとしては、2030年に経常収益を10億円規模まで活動を広げることが1つのマイルストーンだ。「日本のセーフティーネットは危機的な状況で、もう一度自分たちで作っていかなければならない」(今井氏)。

今後も支援を必要としている若者へのリーチを広げることを目指すが、D×P単独の活動だけでなく、国への働きかけやほかのNPO法人などの団体と連携を通じたセーフティーネットの拡充を志向する。

以下では、D×Pの概要や企業との連携などを紹介する。

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