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LINE相談に駆け込む“令和の若者世代“壮絶な孤独―「親が奨学金を使い込む」「親の介護」セーフティネットから漏れた若者に寄り添うNPO

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ユキサキチャットは相談対応や支援先の紹介にとどまらず、食料支援・現金給付も行う。

食糧支援では相談者の状況に応じて内容を変えている(写真:D×P)

食糧支援は30食とコメ2kgを基本として、相談者の状況に合わせて中身をカスタマイズ。体調不良の相談者には食べやすいゼリーと飲料水のセット、家に調理器具がない場合はお湯や常温の水だけで調理できる食品などを送る。

ユキサキチャットのように、オンライン相談窓口から物資支援や給付までカバーする支援は少なく、ほかのNPOや学校からも問い合わせが増えているという。

伴走期間は5~10年のケースも

2つ目の活動として、若者が安心して過ごせるユースセンターの運営を行っている。大阪・難波のグリコ看板下には、家や学校などに居場所がない若者が集まる。

道頓堀付近(住所非公開)で週2回、夕方から夜にかけて開所。食事や仮眠をとる、常駐するスタッフと自身の生活について話し合うことなどができる。年間で約4000人の若者がD×Pのユースセンターを訪れる。

週2回の開所日以外、スタッフは病院や福祉相談、家探しなどの同行支援にあたる。

「ユキサキチャットに相談に来る子は、自分の問題を言語化できる場合が多い。一方、繁華街で支援する若者は自分で相談に来ない、そもそも大人が嫌いといった状況。行政も民間も動けていなかったため、D×Pで始めた」(今井氏)

D×Pが支援した若者は、進学や学業の継続、就職、障害年金や生活保護の受給などにつながり、ゆくゆくはD×Pの支援から卒業する。ただ、就労の継続や安定した生活を送れるようになるまでには時間がかかり、D×Pの伴走は5~10年に及ぶこともあるという。

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