
現代社会は、民間企業による市場経済と、国による税の再分配によって成り立っている。しかし、市場は格差を拡大させて分断をもたらし、政策による再分配ではカバーしきれない深刻な社会課題が「社会の穴」のようにわたしたちの足元に広がっている。
社会に空いた「穴」をなんとか埋めようと、多くのNPO(特定非営利活動法人)が活動している。そして、その活動を財政面で支えるのは主に民間からの「寄付」や「会費」と、国や自治体、助成機関からの「助成金」だ。特に、市民からの寄付なくしてNPOの活動は成り立たない。だが、多くのNPOが活動資金集めに悩んでいるのが現状だ。
貧弱な寄付市場
そもそも日本の寄付市場はきわめて貧弱である。やや数字が古いが、日本ファンドレイジング協会の発行する「寄付白書2021」によれば、日本の個人寄付総額はアメリカの34兆円以上に対して1.2兆円にすぎない(2020年時点)。
このうち、ふるさと納税が半分を占め、宗教法人、共同募金会、
認定NPOのデータで見ていこう。NPOの実態は玉石混淆ともいわれるが、認定NPOはガバナンスや情報公開の義務と引き換えに、寄付に対する税控除を認められた団体だ。全国に約5万あるNPOのうち、認定を受けているのは1257団体(特例認定を除く)のみ。一定の基準を満たした団体でデータの信頼性が高い。
まず全体状況から。認定NPO法人全体の収入規模は、全団体の事業報告書が出そろっている2023年度で1490億円である。その内訳は、以下の通りだ。なお、事業収益とは、有償で施設運営・サービス提供・物販などを行った収入や、自治体などから委託された事業の収入である。
・会費・・・・・・・・・40億円(2.7%)
・助成金・・・・・・・360億円(24.2%)
・事業収益・・・・・・515億円(34.6%)
・その他・・・・・・・・24億円(1.6%)
無料会員登録はこちら
ログインはこちら