
大阪を拠点に、ホームレス状態にある人々を支援する認定NPO法人「Homedoor(ホームドア)」。創業者である川口加奈氏は14歳でホームレス問題に出会い、大学在学中の20歳で団体を立ち上げた。
「知ってしまったからには、知ったなりの責任がある」と川口氏は語る。
ホームドアの活動内容は、シェアサイクル「HUBchari(ハブチャリ)」や相談事業、夜回り、シェルター運営など多岐にわたる。
2024年度の経常収益は2億8109万円。そのうち69.6%がシェアサイクル事業を中心とする事業収益、23.6%が寄付金だった。残りの6.8%は財団からの賞金や助成金となっている。
活動の核となるのが、無料の個室シェルター「生活応援施設」事業。原則2週間の短期滞在を目的とした「アンドセンター」(18室)と、より長期の支援を可能にした「アンドベース」(24室)の計42室を運営する。
共同生活よりも路上を選ぶ切実事情
ホームドアは設立から15年で、延べ6604人の相談に乗り、1772人に宿泊を提供してきた。かつては60代男性が中心だった相談者も、今では平均年齢が42.2歳に下がり、そのうちの4分の1を女性が占める。中には10代、20代で、虐待や貧困など過酷な生育環境を抱える若者も少なくない。
民設民営で42部屋の宿泊場所を持っている団体は極めて限られる。他のNPO団体や自治体からの受け入れ要請も少なくない。
「行政が提供する施設は相部屋が基本だが、精神的な困難を抱える人にとって共同生活はハードルが高い。『それなら路上のほうがましだ』と感じる人もいる」(川口氏)
個室シェルターのニーズは高く、稼働率は6割から満床で推移しているという。月間の相談数は約100件にのぼり、満床の場合は団体負担で近隣のホテルを手配するほどだ。
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