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JR東日本からの労組一掃をもくろむ「労働法制のエキスパート」喜㔟陽一社長。法的に不安定な「社友会」の基盤強化に向け厚労省にも働きかけか

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高市早苗首相の「労働時間規制の緩和検討」指示に強い反発が出た2025年10月27日開催の労働政策審議会(写真:共同)
昨年来、深刻な車両トラブルや子会社での不祥事が相次いでいるJR東日本。安全・安定輸送への信頼を揺るがす非常事態にもかかわらず、経営陣からは危機感や緊張感が伝わってこない。
その一因として指摘されるのが、安全問題をはじめ同社の経営全般を現場からチェックする「労働組合」の不在だ。JR東日本では8年前、過半数労働組合の消滅と同時に、社員の親睦団体「社友会」が誕生。以来、JR東日本は、この社友会を労働組合に代わる「経営のパートナー」として育成してきたのだ。
デジタル連載「過信―JR東日本がもくろむ『労組消滅』」の第8回は、JR東日本における労働法制のエキスパートである喜勢陽一社長が、制度的に不安定な「社友会」に法的担保を与えたうえで、社内からすべての労働組合を一掃すべく様々な策を弄している実態を明らかにする。
【配信スケジュール】
第1回 JR東日本「社友会」育成の真の狙いは労組潰し
第2回 社友会を「経営のパートナー」とするJR東日本
第3回 JR東日本の“擬似労働組合”のような社友会
第4回 JR東日本が関与する「過半数代表選挙」の実態
第5回 JR東日本「過半数代表選挙」星取表から漏れ出る会社の本音
第6回 JR東日本「社友会」は働く者を労災から守れるか
第7回 JR東日本「社友会」に法的担保を付与しようと画策
第8回 JR東日本「労制エキスパート」がもくろむ労組一掃(本記事)

高市早苗氏が首相就任後、上野賢一郎厚生労働相に「労働時間規制の緩和検討」を指示してから初の会合となった厚労省の「第204回労働政策審議会 労働条件分科会」(2025年10月27日。以下、労政審)――。労働者代表委員(労側委員)の一人で、連合の冨髙裕子・副事務局長は冒頭から、この“高市指示”について次のように述べ、強い反対の意を表明した。

「本件については、本分科会の議論に直接的な影響を及ぼすものではないと考えておりますし、また及ぼすべきではないと考えておりますが、報道後、多くの働く仲間から、強い懸念であったり、不安の声が寄せられているという状況です。(中略)残念ながら、過労死や過労自死はなくなっていないどころか、労災の請求件数は増加しております(中略)政府は、こういう状況を極めて重く受け止めるべきだと考えておりますし、過労死ラインぎりぎりの水準である現行の上限規制の緩和を促すなど、働き方改革を逆行させるようなことは断じてあってはならないと考えております」(議事録より、以下同)

経団連は“高市指示”に賛意

これに対し、使用者代表委員(使側委員)である経団連の鈴木重也・労働法制本部長は、「心身の健康の維持と従業者の選択を前提にした労働時間規制の緩和の検討」という首相の指示は「時宜にかなったもの」と賛意を示したうえで、「厚生労働省におかれましては、早期に検討をお願いしたいと思っております」と要望した。

“高市指示”をめぐる労使双方からの発言を受け、事務局の岸本武史・厚労省労働基準局長は「労働時間規制については、様々な声があることは承知(しており)、誰もが働きやすい労働環境を実現していく必要性や、上限規制は過労死認定ラインであるということも踏まえて検討する必要がある」【( )内は筆者補足、以下同】としたうえで、次のようにコメントした。

「いずれにせよ、労働基準関係法制の見直しについては、総理からの指示も踏まえて、今後、(労働時間を中心とした働き方改革関連法施行後5年の)総点検の結果を精査しながら審議会で議論を深めてまいりたいと申し上げているところでございまして、今後とも委員の皆様の御意見をお伺いしつつ、引き続き御議論いただきたいと考えております」

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