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マブチモーター高橋徹社長が明かす「3つのM」による再成長シナリオ、中国勢の追い上げをどう封じるか?自動車向けモーターの次の展開

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高橋徹/たかはし・とおる 1965年生まれ。東海大学工学部卒業後、88年マブチモーター入社。93年中国・大連子会社へ出向するなど早くから中国でキャリアを積む。生産管理部長、購買・生産管理本部長などを経て、2024年3月より社長(写真:今井康一)
自動車電装モーターで高いシェアを誇るのが、千葉県松戸市に本社を置くマブチモーターだ。ドアミラーやウィンドー、座席など、車の電動部分に欠かせないモーターを製造し、ミラー用で8割、ドアロック用で7割以上の世界シェアを持つ。代名詞は、あえて標準品しか手がけない「標準化戦略」。商品数を絞ることによる高品質・低コストが強みだ。
近年は、モーターにポンプやギア、制御技術を加えて多様な動きを実現する「ソリューション提供」を強化している。また自前主義から転換して6年間で5件のM&Aを実施するなど、明確な変革期を迎えている。自動車市場の動向をどう分析し、標準化&ソリューション戦略をどう展開していくのか、高橋徹社長に聞いた。

 

――社長就任2年目の前期、トランプ関税やレアアースショックなど、外部環境は激しく変化しました。

2025年度は自社でコントロールできない環境下でも、QCD(品質、コスト、納期)を崩さずに製品を安定供給でき、部品メーカーとしての責任を果たせた。

変化の激しい状況では、トップダウン経営ではなく社員一人ひとりの主体性がなければ、事業機会を逃す事態が起こりかねない。各現場からの主体的な提案・改善を、迅速に意思決定につなげられる組織をつくるよう意識してきた。結果、25年12月期の営業利益は254億円と、前年比17%の増益を達成できた。

強いリーダーシップは重要だが、それだけでは間違うこともあるため、適度に権限を委譲することが必要だ。当社も地産地消方針で世界5極体制をとっているが、おのおのが独立しつつ横のつながりを持てるよう、拠点をまたぐ会議などにより交流の場を設けたり、意図的に課題を与えたりしている。

新たな顧客を開拓するための武器

――足元では、自動車生産が軟調です。売上高の8割近くが自動車向けである状況をどうみていますか。

標準化したモーターを大量に納めるビジネスモデルには自動車がマッチしているし、EV(電気自動車)、ガソリン、ハイブリッド車にかかわらず、当社の製品の取り込まれ方は大きく変動しない。ただ、依存度を是正する必要性は感じている。モーターの単品のみならず、ユニット化や周辺部品の提供で「動きのソリューションを提供する」よう方向性を変えているところだ。

また、「3つのM」(モビリティ、マシーナリー、メディカル)を中心に新たな顧客を開拓している。ここ数年の取り組みが功を奏し、今期(26年12月期)は従来8割近くあった自動車電装モーター売上比率が約75%まで下がる予定だ。最終的には6割にしたい。

シェアが高く供給責任を抱えるため、ただ車向けを減らすというわけにはいかないが、高めの目標を設定しないと是正は進まない。

――低価格戦略により世界市場でシェアを高めている中国勢と、どのように戦いますか。

高品質と、大量生産によるリーズナブルな価格での提供では、当社に軍配が上がる。製品だけでなく、部品、工程、生産設備なども含めた標準化をしてきたし、それによる規模の経済を積み重ねてきた。

不良品率の低さ、さらには製品の質のばらつきの少なさにも強みがある。規格値を満たした製品だとしても、ばらつきがあると顧客は使いにくく、最終製品にもむらが出てしまう。例えば高級車は静音性という特性が重視され、安いだけのモーターは使えない分野だ。安易な価格競争には関与せず、われわれの価値を認めてもらえる顧客や分野に集中する。

全体で約1000社ある顧客の多さも強みだ。当社は大手メーカーの系列企業ではないためだが、特定の顧客の動向に左右されないことも安定感につながっている。

ただ、中国メーカーもスピード力を生かして先端開発を進め、従来のように模倣品だけを造っているわけではない。彼らと距離を置くつもりはなく、提携することも当然ある。

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