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紅麹問題から2年、小林製薬の社長が吐露「攻守両面の風土をつくる」、品質管理の徹底と信頼回復の道筋を描けるか

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豊田賀一/とよだ・のりかず 1964年生まれ。関西学院大学法学部を卒業後、87年小林製薬入社。国内マーケティングを経て、2006年より海外子会社社長や国際事業部部長を歴任。23年執行役員国際事業部事業部長、25年3月より社長(写真:ヒラオカスタジオ)。
紅麹原料を含むサプリメントの健康被害問題が表面化してから2年。情報開示の遅れに非難が集中した小林製薬は、以後、品質管理やガバナンス体制の強化を急いできた。しかし、その改革を「不十分」と断じるのが、同社株の約13%を保有する香港の投資ファンド、オアシス・マネジメント(以下、オアシス)だ。創業家による経営が続いてきた同社に対し、オアシスは継続的な株主提案を通じて厳しい視線を注ぎ続けている。
一方、小林製薬は2026年2月に発表した新中期経営計画で、品質管理の徹底と海外事業による再成長を掲げた。信頼回復への道筋をどう描いていくのか、豊田賀一社長に聞いた。


――今年3月27日に開催予定の定時株主総会でオアシスに提案されているすべての議案に、小林製薬は反対しています。その理由を教えてください。

オアシスからの指摘も、会社をより良くするための観点からの発言だと受け止めている。株主である以上、聞くべきところは聞き、経営に取り入れるべきものは取り入れていくという考えだ。

今回、オアシスからの株主提案に反対した理由は、提案された定款変更の内容をすでにわれわれが実施しているためだ。例えば、悪い情報がタイムリーに取締役会メンバーに伝わる仕組みはすでに導入しており、定款に入れる必要はないと判断した。

また、取締役会の議長を社外取締役に限定する件についても、現在は社外から来た大田嘉仁会長が議長としてスムーズに運営を行っており、今の体制が効果的であると考えている。

創業家の「院政」はない

――一方で、創業家の小林一雅元会長が特別顧問に、小林章浩前社長が取締役にとどまっています。発行済み株式の約30%を創業家が保有していることもあり、ガバナンスへの懸念は根強いです。

外からそのように見えることは自覚している。しかし、一雅氏は特別顧問として、月に20〜30件のマーケティングのアイデアを出すことはあっても、経営執行に口出しすることはいっさいない。

章浩氏も、補償担当役員として監督や方針決定に専念しており、執行に特別な影響力を及ぼす立場ではない。役員としての本分をわきまえており、世間で言われるような「院政」はない。もしそうした実態があるなら、私は社長を引き受けていない。

――創業家のカリスマ性が強かった小林製薬において、今後も残していきたい強みや企業文化は何でしょうか。

わかりやすさとチャレンジ精神だ。

製品のパッケージや広告においてわかりやすさを追求するだけでなく、日々の業務や上司への報告一つをとっても結論から伝えるなど、わかりやすさを重視する文化がある。「社内向けでわかりやすくできないものが、お客様に伝わるはずがない」という教えを経営陣から現場まで伝えていきたい。

また、チャレンジ精神を醸成する文化の1つに「提案制度」がある。これは、社員が月に1回、新製品のアイデアや業務改善などの提案を提出する独自の習慣である。提出されたアイデアが直接製品化されなくても、社員全員が毎月「考える」こと自体が次々と新製品を生み出す風土につながっている。他社が一朝一夕にはまねできない「秘伝のたれ」として絶対に守るべき習慣だ。

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