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〈アーカイブ〉松下幸之助が1961年に語った多角化経営への強い拒否感、「自分の本業以外に手を伸ばしていくのは非社会的と思う」

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松下電器産業(現パナソニック)創業者の松下幸之助(1894-1989年)。1960年代に撮影(撮影:東洋経済写真部)

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終戦から15年余が経過した昭和36年(1961年)1月21日号の『週刊東洋経済』に掲載された、松下電器産業(現パナソニック)創業者・松下幸之助氏へのインタビュー記事を紹介する。幸之助氏の将来見通しは保守的だ。
エアコンについては「どの程度期待していいかは問題」と語り、「びっくりするような世の中になるということはない」と言い切る。アメリカが先にいろんなことを経験してくれるから、それを見習えば早い」とも。事業領域については「電機から離れたほかのものまで拾って事業に乗せる、つまり製造の百貨店みたいなものは、私はよくないと思う」と多角化に否定的である。
創業者がこの会社に植え付けたのは、画期的なイノベーションを生み出す文化ではない。先行企業にキャッチアップし、消費者が欲しがる電化製品を大量生産してシェアを取る文化だ。楠見社長は「創業の原点に立ち返る」と繰り返しているが、幸之助の生き方やリーダー哲学は大事にしつつも、高度経済成長期におけるキャッチアップ型、大量生産型の経営手法から学ぶべきものは、あまりないかもしれない。

ことし(=1961年)は、「家庭電器」事業再認識の年といわれる。年頭に当たって、業界の主、松下氏はその前途をどうみているか、豊富な業歴と、独特なセンスから割り出される氏の意見を、電器界のみならず各般にわたってうかがった。

10年後は最低3倍

――過去数年で家庭電器は異常な発展をみましたが、今後もこの調子でいくかどうか。どんな新製品が現われるか。新春を迎えて、松下さんが業界の前途をどのようにみておられるか、お聞きしたいのですが……。

東洋経済のアーカイブを紹介。本連載の一覧はこちら

松下:私は技術家でないから技術的にどういうものができるかとなると、これはお答えしにくい。しかし、家庭電器というものは、われわれ人間の消費生活を向上させるのになくてはならんものです。そして、人間の生活というものは、際限なく向上していくのですから、これに応じて、家庭電化も無限に発展するのだといえます。

ただ、無謀に発展などといったのでは、この場合、話にならんから、一応、区切りをつけて、10年先に、家庭電器に消費される金額がどうなるかを考えてみますと、その時の国の政治、経済の状態にもよりますが、われわれの望むように日本が進むならば、大体、私は現在の最低3倍にはなると思います。

むろん、品物によってはふえないのもあるが、4倍も5倍もふえるものや、新しく生まれる製品もあります。それらを総合して考えてみると、まず3倍になると思うのです。

家庭電気器具いっさいを含めて、昭和35年中の生産ー消費が4000億円であったとしますと、10年先の昭和45年には1兆2000億円、それくらいには、なるんじゃないかという気がします。だから、相当大きな製造分野になりますね。

1961年1月21日号の『週刊東洋経済』に掲載された、松下電器産業(現パナソニック)創業者・松下幸之助氏へのインタビュー記事「革新期から普及期へ」

――いまでも年間4000億円といえば、有力な事業ですが、今後、大きく伸びる製品としてどんなものがありますか。

松下:冷蔵庫とか、テレビではカラーテレビもありますね。その他やがて生まれてくるものとしては、冷蔵庫のほかに冷凍庫があります。いまはみな市場に毎日買い物に行っておりますが、日本の婦人もだんだんアメリカのように、職業婦人になる可能性が強い。そうなると、いまのように毎日買い物に行けず、週に1回ということになる。それをいったん保存力の強い冷凍庫に入れて、毎日冷蔵庫に入れ替える。

こういう生活になりますね。ただ、日本の家屋は狭いから、冷蔵庫と冷凍庫を2つ置くわけにいかないとなれば、その2つを一体にしたものも考え出されるでしょうし、別々がいいとなれば別なものを作る。そういう新分野も生まれます。

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