ことし(=1961年)は、「家庭電器」事業再認識の年といわれる。年頭に当たって、業界の主、松下氏はその前途をどうみているか、豊富な業歴と、独特なセンスから割り出される氏の意見を、電器界のみならず各般にわたってうかがった。
10年後は最低3倍
――過去数年で家庭電器は異常な発展をみましたが、今後もこの調子でいくかどうか。どんな新製品が現われるか。新春を迎えて、松下さんが業界の前途をどのようにみておられるか、お聞きしたいのですが……。
松下:私は技術家でないから技術的にどういうものができるかとなると、これはお答えしにくい。しかし、家庭電器というものは、われわれ人間の消費生活を向上させるのになくてはならんものです。そして、人間の生活というものは、際限なく向上していくのですから、これに応じて、家庭電化も無限に発展するのだといえます。
ただ、無謀に発展などといったのでは、この場合、話にならんから、一応、区切りをつけて、10年先に、家庭電器に消費される金額がどうなるかを考えてみますと、その時の国の政治、経済の状態にもよりますが、われわれの望むように日本が進むならば、大体、私は現在の最低3倍にはなると思います。
むろん、品物によってはふえないのもあるが、4倍も5倍もふえるものや、新しく生まれる製品もあります。それらを総合して考えてみると、まず3倍になると思うのです。
家庭電気器具いっさいを含めて、昭和35年中の生産ー消費が4000億円であったとしますと、10年先の昭和45年には1兆2000億円、それくらいには、なるんじゃないかという気がします。だから、相当大きな製造分野になりますね。
――いまでも年間4000億円といえば、有力な事業ですが、今後、大きく伸びる製品としてどんなものがありますか。
松下:冷蔵庫とか、テレビではカラーテレビもありますね。その他やがて生まれてくるものとしては、冷蔵庫のほかに冷凍庫があります。いまはみな市場に毎日買い物に行っておりますが、日本の婦人もだんだんアメリカのように、職業婦人になる可能性が強い。そうなると、いまのように毎日買い物に行けず、週に1回ということになる。それをいったん保存力の強い冷凍庫に入れて、毎日冷蔵庫に入れ替える。
こういう生活になりますね。ただ、日本の家屋は狭いから、冷蔵庫と冷凍庫を2つ置くわけにいかないとなれば、その2つを一体にしたものも考え出されるでしょうし、別々がいいとなれば別なものを作る。そういう新分野も生まれます。






















無料会員登録はこちら
ログインはこちら