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JR東日本が「働き方改革」見直しの動きに乗じ「社友会」に法的担保の付与を画策。今、話題の「労政審」の議論にも積極関与

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10月27日に開かれた労働政策審議会。高市早苗首相が「労働時間規制の緩和検討」を指示したことに、連合から労働者代表として出席した冨高裕子委員は「強い懸念」を示した(写真:共同通信)
東北新幹線での「連結器外れ」や、最新型車両「E8系」の故障など、深刻な車両トラブルが相次ぐJR東日本。安全・安定輸送への信頼を揺るがす非常事態にもかかわらず、経営陣からは危機感や緊張感が伝わってこない。
その一因として指摘されるのが、安全問題をはじめ同社の経営全般を現場からチェックする「労働組合」の不在だ。JR東日本では7年前、過半数労働組合の消滅と同時に、社員の親睦団体「社友会」が誕生。以来、JR東日本は、この社友会を労組に代わる「経営のパートナー」として育成してきたのだ。
デジタル連載「過信―JR東日本がもくろむ『労組消滅』」の第7回は、JR東日本が厚生労働省の労働政策審議会に積極的にコミットし、社友会を労使コミュニケーションの相手方として政府に認めさせ、法的・制度的担保を付与しようと画策している実態を詳報する。
【配信スケジュール】
第1回 JR東日本「社友会」育成の真の狙いは労組潰し
第2回 社友会を「経営のパートナー」とするJR東日本
第3回 JR東日本の“擬似労働組合”のような社友会
第4回 JR東日本が関与する「過半数代表選挙」の実態
第5回 JR東日本「過半数代表選挙」星取表から漏れ出る会社の本音
第6回 JR東日本「社友会」は働く者を労災から守れるか
第7回 JR東日本「社友会」に法的担保を付与しようと画策(本記事)

2025年1月21日、東京都内で開かれた「第193回労働政策審議会 労働条件分科会」――。この日の審議も後半にさしかかったところで、使用者代表委員の1人としてオンライン出席していたJR東日本の幹部は次のように発言した。

「私からは、労使コミュニケーションのあり方の検討に関する意見を申し上げたいと思います。(中略)労働組合ですとか過半数代表者の役割、その活性化の検討をしっかりとやっていくということも当然必要なこととは考えますが、同時にこうした新たな制度、(労使コミュニケーションの)バリエーションを増やしていくということも必ずしも『将来的に』でよいとは考えておらずに、検討するということであれば、そういった時期にすでにきているのではないかと感じております」【議事録より引用。( )内は筆者補足】

労働政策審議会(労政審)は厚生労働大臣の諮問機関で、厚労相の諮問に応じ、労働政策に関する重要事項の調査・審議を行い、意見を述べる。厚労相が任命する有識者ら公益代表委員、労働者代表委員、使用者代表委員各10人、計30人の委員で構成される。

労政審に関与するJR東日本の思惑

その労政審では昨年来、「働き方改革関連法」の施行から5年を迎え、同法の見直し、特に、約40年ぶりとなる労働基準法の大改正も視野に入れた議論が進められている。

労政審には7の分科会と18の部会が設置されているのだが、中でも労働時間や最低賃金、労働契約など労働条件全般に関することについて審議を行うのが前出の労働条件分科会だ。

高市早苗首相が就任早々、上野賢一郎・厚生労働相に「労働時間規制の緩和検討」の指示を出したことで、この分科会での労使の議論が一躍メディアの注目を集めたが、同分科会にはもう一つ、重要な審議項目がある。

それは〈労働者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利の保障や労働関係の調整に関すること〉。つまり、労働組合との集団的労使関係をはじめとする「労使コミュニケーション」に関する事項だ。前出のJR東日本幹部は冒頭の発言の後、こう続けた。

「現に過半数労働者、過半数労働組合がない企業、事業場でも、恒常的かつ実質的な形で労使コミュニケーションを行っているというところがあれば、まずはこうした企業において制度として認めていくであったりとか、そういったことも検討していい時期にきているかと思っておりますので、今後検討していく内容としてご検討いただければと思います」

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