JR東日本「社友会」育成の真の狙いは労組潰し。「前代未聞のトラブル」続きだが、経営に緊張をもたらす組織は不在

そしてJR東日本は今、この社友会を「経営のパートナー」として育成し、将来的には労働組合に代わる存在として、労組と同様の「法的地位」を与えることまでもくろんでいるという。それは現在、同社に12ある組合「潰し」につながるだけでなく、他の大企業にまで波及しかねない動きだ。
憲法に保障された労働三権に基づく労働組合と違い、任意団体に過ぎない「社友会」は果たして、乗客の生命と身体をあずかる公共交通機関の「経営のパートナー」たりえるのか。
JR東日本の全面協力のもと製作され、世界的な大ヒットを記録したNetflix映画『新幹線大爆破』――。その映画の“主役”となった「東北新幹線」で昨年来、運行トラブルが相次いでいる。
2024年9月19日、盛岡・秋田発東京行き「はやぶさ・こまち6号」が時速315kmで走行中、連結器が外れ、古川―仙台間(大崎市内)で緊急停止した。JR東日本では1992年から新幹線の連結運転を行っているが、走行中に連結器が外れたケースは過去に例がなく、まさに「前代未聞のトラブル」(JR東日本関係者)だった。
だが、その後も東北新幹線では、パンタグラフの損壊や台車異常による緊急停止が続発する。それらの詳細や影響については下の表をご覧いただくとして、2025年3月6日、「前代未聞のトラブル」が再び起こった。東京発新青森・秋田行きの東北新幹線「はやぶさ・こまち21号」が上野駅を発車直後に連結器が外れ、上野―大宮間で緊急停止したのである。
わずか半年間に、走行中の列車分離が2度にわたって起きるという異例の事態を受け、国土交通省は、事故が発生する恐れがあると認められる「重大インシデント」に認定。翌7日には運輸安全委員会の調査官3人を、当該車両が収容された新幹線総合車両センター(宮城県利府町)に派遣し、調査を開始した。
前代未聞「走行中の連結器外れ」が続発
「1度目の列車分離の発生後、原因を調査していたJR東日本は『こまち6号』に搭載されている強制分離を指示するスイッチの端子部分から金属片が見つかったと発表。この金属片によって回路がショートし、誤った指令が発信されたことが、連結器が外れた原因ではないかとみていました。
このため、連結運転を行う新幹線のすべての車両から、このスイッチの配線を取り外すなどの対策を施したうえで、連結運転を再開したのですが、半年も経たないうちに2度目の列車分離が起こったことから、新幹線全線で、連結運転を取りやめたのです。
2度目の連結外れの原因はいまだに特定できていませんが、JR東日本では3月15日からダイヤ改正を控えていたことから、緊急対策として、連結器に誤って電気が流れても、ロックが外れないよう、治具で固定した上で、14日から連結運転を再開しました」(国交省担当記者)
ところが、連結運転再開から約3カ月後の6月17日、今度は、栃木県内の東北新幹線下り線を回送運転中の最新型車両「E8系」に故障が発生。自走運転ができなくなり、宇都宮―那須塩原間で立ち往生した。この影響で、東京―仙台間の上下線が5時間半にわたって運転を見合わせたのだが、この間に他の3つの車両でも不具合が見つかった。いずれもE8系だったことから、JR東日本は原因が判明するまで、同系車両の単独運転を取り止めるとしたのだ。
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