
「手数料を見直すときは代理店と十分に協議し、合意を図るということが、監督指針に明記された。(中略)これは代理店がたいへん大きな力を手に入れたということだ」
通常国会の会期末が迫った今年6月6日。東京・永田町の参議院議員会館で開かれた「損保代理店院内集会」では、自民党や立憲民主党、共産党の国会議員が次々とマイクを握り、そう言って気炎を上げていた(上写真)。
ここでいう手数料とは、損害保険会社が代理店に適用している「手数料ポイント制度」のこと。2003年に損保各社が導入したもので、代理店の収入保険料の規模や増収率、業務品質などに応じてポイントを設定し、標準手数料(率)に掛ける仕組みになっている。規模や増収率を過度に重視した手数料ポイントの運用を損保各社が進めたことにより、割を食ったのが中小規模の保険専業代理店(プロ代理店)だ。
手数料ポイントが80%や50%にとどまり、結果として受け取る手数料が20%減や50%減となることで、経営が急速に悪化する専業代理店が増えていった。
旧ビッグモーターを優遇
23年には代理店の経営者ら200人超が集まり、手数料ポイント制度の恣意的な運用は、損保による優越的地位の濫用だと声を上げ、公正取引委員会に申告する事態にもなっている。
そうして中小の専業代理店が追い込まれる構図が鮮明になる中で起きたのが、旧ビッグモーターによる保険金不正請求問題だった。
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