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〈国内AIブームに異変か〉売れ残り始めたGPU…AIインフラ整備で大躍進した「さくらインターネット」の成長に急ブレーキがかかった真因

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業績の伸びに急ブレーキがかかったさくらインターネット。急成長を牽引してきたGPU関連サービスで戦略転換を打ち出す(撮影:梅谷秀司)

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2022年のChat GPT公開以降、海外のビッグテックなどがAI(人工知能)の大規模言語モデル(LLM)開発に向けた巨額投資を繰り広げている。
“AIブーム”とも言われる潮流は、日本にも波及している。AI事業に必要となるエヌビディア製のGPU(画像処理半導体)を国内企業が大量調達し、GPUサーバーの収容を想定した大型データセンター(DC)の建設ラッシュが続く。
しかし国内AIインフラ市場では一部でGPU需給が崩れるなど、早くも異変がみられる。「日本版AIブーム」はどこに向かうのか。足元の実態を検証する。

だぶつき始めたGPU

「『とにかくGPUが足りない』と、一時期はGPUを持っていれば(それだけで)売れる状況で、当社は他社に先駆けて大量のGPUを整備できていたことが強みになっていた。しかしいったんGPU需要が落ち着く中で、だぶつきがあるのが現状だ」

国内で早期にGPUを大量稼働させ、旺盛なAIインフラ需要を背景に、大躍進を遂げたさくらインターネット。DCやクラウドを展開するさくらは経済産業省の助成を受け、エヌビディア製GPU「H100」を2025年3月期までに計2800基超整備し、同期の業績は売上高が前期比43.9%増の314億円、営業利益が同4.7倍の41億円まで拡大した。

導入とともに即完売するほど引き合いが強かったGPU関連サービスが急成長を牽引したが、今期に入り、その勢いにブレーキがかかっている。

さくらが期初時点で発表した26年3月期の通期業績予想では、採用拡大に伴う人件費などが膨らみ、前期比で1割弱の営業減益になるものの、売上高は3割増に迫る高成長が続くと見込んでいた。

しかし、7月の段階で業績を下方修正。売上高は前期比16.2%増の365億円に成長見通しを引き下げ、営業利益に関しては同91.6%減の3.5億円に急減すると見込む。10月下旬の決算説明会で、さくらの田中邦裕社長はGPU関連サービスを取り巻く現状を冒頭のように明らかにした。

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