経産省からの約570億円の助成でGPUクラウドサービス拡大へ。
ゴォーッ、ゴォーッ、ゴォーッ──。
北海道・石狩市の郊外。東京ドームよりも広い敷地内のある棟に移動すると、廊下沿いの扉から重低音が漏れ聞こえてきた。「耳栓 イヤーマフ着用」。そんな紙が入り口に貼られた部屋に入ると、数百はあろうか、大量のラックが整然と並んでいた。部屋中にとどろく滝のような音の正体は、高熱を発するサーバーを冷やすためのファン(送風機)だった。
クラウドサービスを提供するさくらインターネット。同社が運営する「石狩データセンター(DC)」の一室には、自社で調達した米エヌビディア製のGPU(画像処理装置)を組み込んだサーバー群が収容されている。
AI(人工知能)の開発に際し、計算基盤として使われるのがGPUだ。世界でAIの開発競争が進む中、GPU需給は逼迫し、安定調達できる国内企業は今、さくらやソフトバンクなど一部に限られる。石狩の施設は、日本のAI向けDCの最前線といえる。
時価総額は5年で10倍に
さくらは経済産業省の支援を受け、2024年6月までに計約2000基のGPUを設置し、稼働させた。クラウド上でAIの開発などができるサービスを提供し、研究機関を中心に旺盛な引き合いがあった。販売開始と同時に「2000基すべてが売れた」(田中邦裕社長)という。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら