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続々買われる産業団地や工場跡地…国内製造業衰えてデータセンター栄える? 建設ラッシュが浮き彫りにする“外資依存”の陥穽

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経営破綻したマレリホールディングスの本社跡地(さいたま市)を活用し、シンガポールに本社を置く事業者が整備したAI対応のデータセンター(DC)。各地で工場跡地などがDCに置き換わるケースが増えている。写真は5月(編集部撮影)

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クラウドの普及とAIの開発競争を背景に急増するデータセンター(DC)。国内でも、巨額の対日投資を表明するAWS、マイクロソフトといったハイパースケーラー(巨大クラウド事業者)の需要を見込み、数百億~数千億円単位のDCの建設計画が続出する。2000年代には国内の通信、SIer(システムインテグレーター)を中心に回っていた業界風景は一変し、海外から投資ファンドを軸に巨額マネーが流れ込む。
際限なきDCの急拡大を受け、事業者と地域住民の間で軋轢が生まれるケースも目立ち始めている(詳細はこちら)。今、日本各地で何が起きているのか。現場の実態と課題を追う。

米IT大手自ら土地を買いあさるケースも

「1960~1970年代に整備され、破綻していった工業団地を使って物流センターとDCが作られてきた。ただ、いよいよそれでも電気が供給できる工業団地が足らなくなってきている」

日本データセンター協会の理事長を務めるさくらインターネットの田中邦裕社長は、DC建設を取り巻く国内の現状をそう説明する。そのうえで、千葉県印西市をはじめ各地で住民トラブルが相次ぐ状況に対して、「投機的なDC建設が軋轢を生んでいる」とみる。

印西のような極端な集積地以外では、産業団地などの広大な土地を確保する動きが目立つ。オーストラリアのグッドマン・グループは、2022年に茨城県つくば市の東京ドーム約10個分に相当する未利用地を取得し、DCキャンパス展開に向けた準備を進める。NTTグループは今年2月に栃木県栃木市の産業団地を取得し、DCを開発する方針だ。栃木県によると、県内の産業団地に大規模なDCが立地するのは初めてという。

グーグルの関連企業が取得した和歌山県内のDC候補地。長年塩漬け状態にあり、「負の遺産」として知られていた土地だった(編集部撮影)

ハイパースケーラー自らDC向けの土地を買いあさるケースも出ている。グーグルの関連企業であるAsa合同会社は2023~2024年に、和歌山、広島の両県で企業用地や産業団地をそれぞれ60億円弱で購入。いずれも地元自治体などが長年保有していた広大な「塩漬け土地」で、将来的にDCが整備される見通しだ。

Asaは滋賀県竜王町でも、大規模な土地を取得したことが判明している。将来のDC需要増を見越し、まだ注目度が高くない土地を先行的に抑えていく狙いがあるとみられる。

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