
「データセンターの設置やクラウドサービスの利用が加速しています。重要なデータの保存・処理を行うインフラですが、現在、わが国にはこれらを規律する法律がありません。つまり政府として実態を把握できておりません。(中略)来年の通常国会に向けて法整備を党が主導します」
6月19日、元経済安全保障担当相の小林鷹之衆院議員(自民党)が、自身のXでこのように投稿した。その約3週間前、小林氏が本部長を務める党経済安全保障推進本部がまとめた提言では、DCやクラウドなどデジタルサービスの提供に必要な基盤について「国内の事業実態把握は(中略)安定的な役務提供を維持する上で不可欠」として、法整備も含めて対応すべきと踏み込んだ。
党提言も踏まえ、先月閣議決定した政府の「骨太の方針」には、「重要なデータ保有者や保存・処理先に対する規律の確保について検討を行う」との内容が明記された。建設ラッシュが続くDCをめぐり、実態を把握する制度整備に向けた動きがいよいよ本格化することとなる。
事業者からも規制を求める声
これまで業法上の規制がなかったDCは、国としてその全体像を把握すらできていなかった。裏を返せば、「驚くほど制限が少ない」(あるDC企業首脳)日本の状況が、海外ファンドを軸とする巨額資金流入を招き、無秩序なDC乱立をもたらした面は否定できない。
足元では、事業者サイドからもDCに対する規制を求める声が上がっていた。日本データセンター協会理事長を務めるさくらインターネットの田中邦裕社長は4月の決算会見で、「一部の外資系REITなどがかなり荒い乱開発をして、地域社会との軋轢を生んでいる。これは一定の規制をすべきだ」と指摘した。
ソフトバンクの宮川潤一社長も5月の決算会見で、「千葉の印西などにDCが集中しており、これ以上増やすと、DCが東京全体のブラックアウトリスクの引き金になるとの指摘もある。DCが未来の事業だから何をやってもいいとはまったく思っていない。そういう問題を早めに解決できるような法整備を強く望みたい」と述べた。
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