データセンターもうこれ以上は…自治体の“限界” 税収効果はある一方で苦悩浮き彫り 従来の集積地からあふれ出した印西市は「キャパオーバー」間近か

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千葉ニュータウン中央駅から徒歩5分の場所にあるDC建設予定地。立地する千葉県印西市の市長も、「地域の状況にふさわしい施設」ではないとの見解を示している(記者撮影)
クラウドの普及とAIの開発競争を背景に急増するデータセンター(DC)。際限なきDCの急拡大を受け、電力不足や、事業者と地域住民の間での軋轢といった問題も目立ち始めている。今、日本各地で何が起きているのか。現場の実態と課題を追う。

「DCは原則誘致しない」と宣言

京都、大阪、奈良の3府県にまたがり、数多くの研究機関や大学、文化施設などが集積する、関西文化学術研究都市(けいはんな学研都市)。緑豊かな丘陵地に位置するこの土地は、強固な地盤に加え、大規模な企業用地が存在していたことから、近年、関西地方におけるDC建設の適地として注目されてきた。

イギリスのColtデータセンターサービスが2023年に大規模DCを開設したほか、NTTグループ、関西電力とアメリカ企業の合弁会社などによる新たな巨大整備計画も複数判明している。今年3月には、香港とアメリカの外資系プレイヤー同士が組む形でDCキャンパスの建設に着工した。

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データセンターの新たな誘致は原則行わないと宣言した京都府精華町の説明。傍線は編集部(画像:京都府精華町のホームページより)

とくに立地が集中しているとされるのが、京都府精華町内にある精華大通り周辺だ。しかし、精華町としてはこのDC建設ラッシュを歓迎していなかった。

町は昨年9月、DC立地についての対応方針をまとめ、「今後、学研地区への新たな誘致は原則行わない」と宣言。「周辺環境との調和などを考えると、DCがたくさん集まるのは、学研都市としての街づくりの方向性とは異なる」(精華町の担当者)のが理由だ。なお、街づくりへの大きな貢献が期待されるようなDCについては誘致できるとしている。

DCをめぐる困惑やトラブルは、国内で最大規模のデジタルインフラ集積地も例外ではない。約30棟のDCが稼働するとされる千葉県印西市だ。

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