データセンターもうこれ以上は…自治体の“限界” 税収効果はある一方で苦悩浮き彫り 従来の集積地からあふれ出した印西市は「キャパオーバー」間近か
過去の印西におけるDCの立地状況を調べると、市内の土地が埋まりつつある状況がうかがえる。記者が市内各地を回って立地状況を確認したところ、DCの集積エリアは、大きく3カ所に分類することができる。
まずは、主に2010年代以降に整備が進んだとみられる大塚地域や、周辺の泉野地域。その北東部に位置する鹿黒南地域は、グーグルが2023年に開設した大型DCを筆頭に、外資系による開発が相次いでいる。3カ所目となる牧の台地域では、東京ドーム6個分に相当する広大な敷地で、大和ハウス工業による大規模DC拠点「DPDC印西パーク」の開発が進行中だ。将来的に日本最大級のDC拠点になると見込まれる。
印西ではDC新設に必要な電力需給がすでに逼迫すると指摘されるが、このように、DCの整備用地自体も急速に埋まりつつあることがわかる。そして足元では、市のキャパシティが限界を迎えた状況を象徴するかのような軋轢が表面化している。
“商業地域”でも建設は可能
「この場所は、多くの市民の日々の生活の場の中心に位置しています。こうした地域の状況にふさわしい施設が整備されるべきで、それはデータセンターではないと考えています」――。
印西市の藤代健吾市長は4月9日、Xにこのような投稿をした。市中心部の千葉ニュータウン中央駅から徒歩5分、商業施設やマンションに近接する中央北地域の土地でDC計画が判明したことを受けた見解だ。市民からも、生活圏内でのDC建設を懸念する声が多数上がっている。
多くのDCが建設されたことにより、2023年度の市の固定資産税収は162.1億円と、10年前から倍増した。しかし、「もともとは誘致に積極的だった」(外資系DC事業者)行政も、DCが市中心部にまで進出しつつある現状には頭を悩ませている。
反発を受けているDCは、イギリスのColtが運用予定だと報じられている。Coltは足元では市内で計4棟を運用する。他の棟は先述の大塚地域周辺に立地しているとみられるが、この場所には他のDC事業者も集積し、さらなる増設が難しくなった可能性がある。今回の建設予定地は、店舗や宿泊施設、遊興施設などの整備を想定した、用途地域上の「商業地域」に該当するものの、DCは「事務所等」の扱いとされており、制度上は建設可能とされている。
従来の集積地からあふれ出し、市の中心部にまで押し寄せ始めたDC。印西市や精華町の苦悩は、他の自治体も他人事ではいられない。
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