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アドベンチャーワールドのパンダが中国に返還された背景には台湾問題があるのか?改めて突きつけられた日中台関係の複雑さ

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食事中に結浜の相手をする良浜ママ
アドベンチャーワールドにいた時の食事中に結浜の相手をする良浜ママ(写真:PIXTA)

和歌山県白浜町のテーマパーク、アドベンチャーワールドで飼育されているジャイアントパンダ4頭すべてが6月28日に中国へと帰国していった。

帰国が発表されたのは4月24日。アドベンチャーワールドが位置する白浜町は、美しい海岸など魅力的な観光資源があることで知られるが、1994年以来中国から借り受けたパンダや新たに誕生した子パンダたちを観光の目玉としてきた経緯がある。

パンダの経済効果は白浜町内にとどまらない。たとえばJR西日本の和歌山から大阪、京都を結ぶ特急「くろしお」はパンダの顔をデザインしたラッピング列車を走らせてきた。

そのため、突然の帰国報道は地元経済に大きな衝撃を与えた。関西圏を中心にメディアは連日大騒ぎとなり、アドベンチャーワールドには別れを惜しむファンが殺到し、展示最終日には涙ぐむ人であふれた。

パンダ帰国に流れる政治的な臆測

今回のパンダ帰国は、園の公式発表によると日中間のパンダ保護共同プロジェクトの契約期間満了によるものである。具体的な事情として、母親の良浜(らうひん、24歳)は高齢のため、子どもの結浜(ゆいひん、8歳)、彩浜(さいひん、6歳)、楓浜(ふうひん、4歳)は繁殖のパートナーを探すためとも説明されている。

中国側はパンダを引き揚げることについて、日本への懲罰であるなど、そういった政治的な説明は一切していない。むしろ中国側はこの件で政治色が出るのを抑制していたようにも見える。

しかし、白浜町や周辺地域の経済がパンダに大きく依存しているのは明らかにもかかわらず、中国側は後続の貸与計画を一切発表することなく、全頭を一斉に引き揚げた。そこには何らかの不満や、政治的判断があったことも感じさせる。

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