
J-REITが回復した理由
――今年に入ってJ-REIT市場が持ち直しています。なぜでしょうか。
それまでREITが不振だった要因として、金利上昇の影響が指摘されるが、新NISA(少額投資非課税制度)のつみたて投資枠にREITの投資信託が採用されなかったことや、海外投資家がベンチマークとする株価指数のMSCIからREITが除外された影響が大きい。
これによりREIT投信からの資金流出が続いたほか、MSCIから外れそうだとわかった時点でヘッジファンドがREITを売り、除外が発表されるとインデックスファンドも売却していった。実物不動産は好調にもかかわらず、特殊要因が重なってREITは極端に下落してしまった。
だが、今年はREITが株式をアウトパフォームしており、投信からの資金流出も止まった。金利は昨年よりも上がっているが、健全なインフレの下では賃料が上がり、キャッシュフローも改善する。REITは思ったほど悪くないという見方が広まってきた。
アクティビストがREIT市場に入ってきたことも大きかった。「これまでREITをまったく見ていなかったが、(3Dインベストメント・パートナーズによる)TOB(公開買い付け)を見て買った」と話す投資家もいた。8月には4年ぶりの新規上場もあり、良い流れになっている。
――近年、REITは物件売却や自己投資口取得などで資産規模を縮小させてきました。新規物件を取得して資産規模を増やすフェーズに戻りそうでしょうか。
REITの運用は「大転換期」に来ている。バイ&ホールドの戦略には戻らないのではないか。
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