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「REITは大転換期だ」KKR系の運用会社社長が喝破、KJRMホールディングスの鈴木直樹社長に聞く「REIT市場の展望」

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鈴木直樹KJRMホールディングス代表取締役社長
鈴木直樹/すずき・なおき 1990年東京大学法学部卒業後、日本長期信用銀行入行。資産運用会社などを経て、2012年三菱商事・ユービーエス・リアルティ(現KJRマネジメント)入社。2025年2月よりKJRMホールディングス代表取締役社長(撮影:今井康一)

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下げ続けていたJ-REIT(不動産投資信託)が持ち直している。東証REIT指数は昨年12月の1613ポイントを底に、足元では1800ポイント台まで戻した。回復基調をたどるREITに「大転換期」が訪れていると強調するのは、総合型と産業用不動産特化型のREIT2銘柄を傘下に持つ KJRMホールディングスの鈴木直樹社長だ。不動産のインフレ耐性が注目されており、運用会社にもインフレに負けない運用力が試されているという。
同社は2022年、アメリカのプライベートエクイティー(PE)ファンドKKRの傘下に入り、KKRと連携した独自戦略を掲げる。REIT市場の見通しやインフレ下での運用方針、KKRとの協業について直撃した。

J-REITが回復した理由

――今年に入ってJ-REIT市場が持ち直しています。なぜでしょうか。

それまでREITが不振だった要因として、金利上昇の影響が指摘されるが、新NISA(少額投資非課税制度)のつみたて投資枠にREITの投資信託が採用されなかったことや、海外投資家がベンチマークとする株価指数のMSCIからREITが除外された影響が大きい。

これによりREIT投信からの資金流出が続いたほか、MSCIから外れそうだとわかった時点でヘッジファンドがREITを売り、除外が発表されるとインデックスファンドも売却していった。実物不動産は好調にもかかわらず、特殊要因が重なってREITは極端に下落してしまった。

だが、今年はREITが株式をアウトパフォームしており、投信からの資金流出も止まった。金利は昨年よりも上がっているが、健全なインフレの下では賃料が上がり、キャッシュフローも改善する。REITは思ったほど悪くないという見方が広まってきた。

アクティビストがREIT市場に入ってきたことも大きかった。「これまでREITをまったく見ていなかったが、(3Dインベストメント・パートナーズによる)TOB(公開買い付け)を見て買った」と話す投資家もいた。8月には4年ぶりの新規上場もあり、良い流れになっている。

――近年、REITは物件売却や自己投資口取得などで資産規模を縮小させてきました。新規物件を取得して資産規模を増やすフェーズに戻りそうでしょうか。

REITの運用は「大転換期」に来ている。バイ&ホールドの戦略には戻らないのではないか。

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