2011年11月24日、衆議院議員会館で「日本再生のカギは日銀法改正にあり」と題する超党派のシンポジウムが開かれた。安倍晋三、鳩山由紀夫らのあいさつに続き、リフレ派の理論的指導者である学習院大学教授の岩田規久男が基調講演を行い、以下の政策を実現するため、日本銀行法の改正が不可欠だと訴えた。
一、政府が2~3%程度(しばらくの間は4%前後)のインフレ目標を設定し、日銀に1年半程度で達成することを義務づける
二、達成できないときには、政府に日銀総裁罷免権を与える
三、政策金利の引き下げ余地が小さいため、長期国債の買いオペによりマネタリーベースを大幅に増やす
一方、日銀はすでに防戦一方となっていた。
リーマンショックに続く欧州債務危機を背景に、安全資産と見なされた円が買われ、前年10月には1ドル=75円台の戦後最高値をつけた。「スーパー円高」に経済界は悲鳴を上げ、慎重に小刻みな金融緩和を繰り返す総裁の白川方明への不満は頂点に達していた。
さらに翌年1月、ショッキングなニュースが飛び込んでくる。米連邦準備制度理事会(FRB)が「2%の長期的な物価目標(goal)」を掲げたのだ。
日銀もやむなく2月の金融政策決定会合で、消費者物価上昇率の目標値について「2%以下のプラスの領域にあり、当面は1%を目途とする」ことを決めるが、この「目途」という表現に野党自民党の山本幸三が早速かみついた。
「まったく逃げているとしか思えない。何で目標という言葉ではいけないんですか。それは責任を取りたくないからですよ」
日銀法改正の圧力 与野党双方に広がる
岩田が提唱した日銀法の改正は、自民党内にも浸透し始めていた。




















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