2011年5月17日、衆議院議員の山本幸三は安倍晋三の事務所を訪ねた。ともに1993年初当選の同期だが、議員会館の安倍の部屋を訪問するのはこれが初めてだった。
新設する超党派議員連盟の会長に就任してほしいと懇請
東日本大震災の直後、すべての国会議員に配付した“檄文”を踏まえ、山本はデフレからの脱却には日銀法の再改正と国債引き受けが必要だと訴えた。そして、新たに設立する超党派議員連盟の会長に就任してほしいと懇請した。
山本によれば、安倍は「日銀が早く引き締めるのは問題だ」などと応じ、福井俊彦総裁時代の量的緩和の解除を批判したという。話を聞きながら、山本は安倍が経済分野についてかなり勉強していることに驚き、“再起”を促すようにこう進言した。
「安倍さん、次は経済で行かなきゃ駄目ですよ」
もっぱら憲法や外交と安全保障を専門にし、経済には疎いといわれた安倍だが、山本の進言に「そうだな」と相づちを打ち、会長への就任を受諾した。
安倍はのちに「この問題を専門家としてずっとやってきたわけではないので、会長をやるつもりはなかった。しかし、民主党政権がデフレ容認、金融政策軽視の傾向が強いので、それだったら私もいっちょうやってやろうかということになった」と話している(12年11月29日、「現代ビジネス」ウェブサイト対談より)。
安倍本人も日銀に対してはかねて不満を抱いていた。





















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