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東証グロース市場改革で問われるIPOの質、パワーエックス上場を導いた主幹事証券の伴走戦略

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2025年12月に上場したパワーエックス。足元では時価総額が1700億円前後と東証グロース市場で存在感を示している (写真:東京証券取引所)

IPO(新規株式公開)はゴールではなくスタート――。東証グロース市場改革の進展により、この言葉は理念ではなく、現実的な条件となった。上場後5年で時価総額100億円以上という上場維持基準が2030年3月から適用される予定で、IPOの意味は大きく変わりつつある。上場は単なる資金調達のイベントではなく、継続的な成長を市場と約束する出発点だ。

そうした環境下で上場を果たしたのが、大型の定置用蓄電池を軸にエネルギーインフラの変革を目指すパワーエックスである。21年3月の設立から4年9カ月後の25年12月、東証グロース市場に上場した。26年12月期には連結営業利益20億~25億円を見込み、黒字転換を計画する。足元の時価総額は約1700億円と、上場時(初値ベース)の4倍を超え、市場の期待の強さを映す。

時期を遅らせてのグロース上場

もっとも、その道のりは一筋縄ではなかった。伊藤正裕社長は当初、25年半ばでのIPOを視野に入れていたという。資金を確保し、成長投資を加速させるには、早期上場が合理的だという判断だった。だが、市場環境に加え、上場後も持続的な評価を得られるかという視点まで踏まえ、主幹事の三菱UFJモルガン・スタンレー証券(MUMSS)は慎重な判断を促した。

2025年に東証グロース市場に上場した企業は、41社と前年の64社から大きく減った。IPOのハードルが上がるなか、スタートアップにとっては「証券会社がどう伴走するか」がこれまで以上に重要になる。上場を実現する力だけでなく、上場後も資本政策や投資家との対話を共に設計できるかどうかが問われる時代に入った。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券(MUMSS)の投資銀行本部スタートアップ・アクセラレーション・チームは、パワーエックスをシリーズAの頃から支えていた。同部門を立ち上げた高橋照典部長と、実務を担った阪本邦仁エグゼクティブ・ディレクターにパワーエックス上場の舞台裏やスタートアップの上場後の支援の在り方について聞いた。

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