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トランプが保身に走った結果のイラン攻撃、国際社会の「二重基準」は容認できるのか。そして東アジアへの教訓とは

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炎上するイランのテヘラン
アメリカとイスラエルの攻撃を受けて煙があがるイランのテヘラン市内(写真:Arash Khamooshi/The New York Times)

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新たな戦争が始まった。「力こそ正義」を、疑うことすら許されないかのような時代に生きていることを再確認させられる。

アメリカとイスラエルが2月28日にイランへ攻撃を始めた。イランの最高指導者ハメネイ師は攻撃を受けて死亡。攻撃は首都テヘラン以外にも及び、市民にも犠牲者が出ている。イランはすかさずイスラエルやアメリカ軍基地がある湾岸諸国に報復攻撃を行い、戦火が広がっている。

正当化できない攻撃、トランプの事情に左右

今回の先制攻撃を受けて首脳を失ったイランの現政権が同情されるに値するかと言えば全くそうではない。市民による抗議デモを武力で鎮圧し、当局発表ですら死者は3000人を超えている。直近のデモだけではない。以前も反体制派を拘束して処刑するなど、数多の人権を蹂躙してきた。

ただ、イラン現政権がどんなに擁護できない体制でもあっても、今回の攻撃は正当化できない。

アメリカのトランプ大統領は2月28日の演説で、イラン攻撃の理由として核開発阻止をあげた。イランとの協議についてはニュースサイト・アクシオスのインタビューで「イラン側は接近しては後退を繰り返した。合意を望んでいないと理解した」と語っている。

国際法は武力行使を原則的に禁じているが、差し迫った危機の際には例外的措置として「自衛権の行使」を認めている。ただ、今回の攻撃は「自衛権の行使」に該当するだろうか。

2025年6月の「12日間戦争」でイランは弱体化し、そもそも脅威は遠のいていた。攻撃の直前には、仲介国であるオマーンの外相が、イランには濃縮ウランを放棄する意向があるとも語っていた。にもかかわらず、その核協議の最中に攻撃が開始された。アメリカとイスラエルの攻撃を「自衛権の行使」と解釈するのは難しい。

アメリカ政治を専門とする同志社大学の三牧聖子教授は2月13日の東洋経済への寄稿でトランプ氏が「国内における経済危機やエプスタイン事件などのスキャンダルから目を逸らすためのスペクタクルとして、ますます限定的な軍事介入への誘惑に駆られるようになる」と指摘。「軍事的冒険主義」に進んでいく可能性を示していた。

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