国鉄時代の考え方を踏襲した「古典的な価格決定メカニズム」(国土交通省の担当者)と称される鉄道運賃の「総括原価方式」。コストに「適切な利潤」を上乗せして上限運賃を定める仕組みだ。
長らく鉄道運賃の算定根拠となってきたが、昨今のインフレや将来的な国内人口の減少に直面する中、制度変革すべきかで議論が白熱している。
2024年8月からの約1年間、「鉄道運賃制度等のあり方に関する勉強会」が断続的に開かれた。交通経済学を専門とする山内弘隆氏(一橋大学名誉教授)といった学識経験者を中心に、JR各社や東急電鉄といった大手私鉄などが共同で設置・開催したものだ。
勉強会では、物価変動を柔軟に反映できる運賃制度の検討について意見が交わされた。25年9月に報告書がまとめられ、国交省を交えて意見交換を行った。
「適正な原価」と「適正な利潤」
そもそも、一般的にはなじみの薄い総括原価方式とは何か。
鉄道事業は巨額の初期投資を必要とする装置産業であり、地域独占性が高い。事業者が自由に価格を決めると利用者の利益が損なわれるおそれがある。これを防ぐため、国は「適正な原価」に「適正な利潤」を加えた総額を「総括原価」として算定し、総括原価を超えない範囲で運賃を認可している。
総括原価方式に基づく運賃設定には、国の厳しい審査をパスしなければならない「認可制」と、事前に国に知らせるだけで済む「届け出制」の2種類が存在する。
新幹線と在来線の普通運賃、定期運賃、そして新幹線の特急料金(自由席)は認可対象である。対して、在来線の特急料金やグリーン料金、寝台料金などは届け出で済み、比較的柔軟な設定が可能だ。
この総括原価方式には、国鉄からJRへと変わる中で運賃決定の主導権が「政治」から「行政(ルール)」へと移り、さらに進化してきた歴史がある。






















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