日本最大の鉄道会社であるJR東日本が3月14日、本格的な運賃改定を行う。値上げと同時に「運賃体系の統合」も実施され、首都圏の複雑な運賃区分はシンプルになる。
従来は「幹線」(全国の主要な路線)、「地方交通線」(利用者が少ないローカル線)、「電車特定区間」(東京周辺の主要路線)、そして「山手線内」の4区分だった。今回、電車特定区間と山手線内が幹線に統合されることで、2区分となる。
電車特定区間と山手線内の運賃はこれまで安く設定されていた。初乗り運賃は東京メトロが178円(ICカード利用時の運賃、税込み、以下同)なのに対し、電車特定区間と山手線内は146円だった。標準的な幹線へと統合される結果、初乗り運賃は155円となる。
1970年代から80年代にかけて、JRグループの前身である国鉄は累積赤字に苦しんでいたため、毎年のように値上げを繰り返した。その結果、並行する私鉄各社に比べて国鉄の運賃は割高となっていた。
だが90年代から2000年代にかけて、私鉄各社は輸送力増強のために値上げを重ねた。JR東日本の鉄道事業本部の飯村新氏によると、「競合があるような区間に関しては、基本的にはおよそ40年間運賃を据え置きにしてきたので、結果的にこの範囲の運賃が安いままになっていた」という。
これまでは「費用主義」だった
3月14日の運賃改定率は、山手線内が16.4%で電車特定区間が10.4%と、普通運賃平均の7.8%よりも高い。背景にあるのは投資の傾斜配分だ。都市部では、最新車両の優先導入やホームドアの迅速な整備など、地方に比べて設備更新コストが多く投じられる。
「首都圏はお客様の流動も大きく、より多くの設備投資が必要となる。ホームドア設置を含めたサービス向上のためにも、今回お客様には値上げ額として負担をいただく形となるが、ご理解いただきたい」。飯村氏と同じ鉄道事業本部に所属する見持昌史氏はそう説明する。
交通経済学を専門とする山内弘隆氏(一橋大学名誉教授)は、今回のJR東日本の改定を運賃決定における「思想の転換になるかもしれない」と分析する。
「これまでの運賃は、運営にかかった費用の回収を目的とした『費用主義』に基づいていた。しかし、山手線の需要の強さや利便性の高さを考えれば、今回の改定は結果的に、提供される価値に見合った負担を利用者に求める『価値主義』に近いアプローチといえる」(山内氏)






















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