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国としてバイオマス発電を推進してきた韓国が政策見直し。環境NGO専門家が語る政策転換の背景と今後の道筋

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インドネシア・スラウェシ島ゴロンタロ州北部の木質ペレットの工場。生産されたペレットは日本や韓国に輸出されているとみられる(写真:SFOC)

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韓国は日本と並び、輸入燃料に依存したバイオマス発電を脱炭素化の方策として推進してきた。しかし、最近になって政策の見直しが始まった。韓国・ソウルを拠点とする環境NGOである「Solutions for Our Climate(SFOC)」はその政策転換に尽力してきた。同NGOで森林・土地利用分野の責任者を務める、ソン・ハンセ氏にインタビューした。

──日本と並んで韓国は、バイオマス発電用にインドネシアから大量の木質ペレットを輸入しています。

現地での木質ペレット生産の実態を把握すべく、2025年8月にインドネシア・スラウェシ島ゴロンタロ州で熱帯林開発の状況を調査した。インドネシアの環境NGOがコーディネートし、日本の環境NGOとともに現地を訪れた。

──結果はどのようなものでしたか。

現地調査では、バイオマス発電用燃料の生産がインドネシアにおける熱帯林破壊の最前線となっている実態を確認した。住宅地のすぐそばまで伐採が行われており、トラックには天然林由来と思われる丸太が積載され、工場ではペレットに加工するための丸太が山積みにされていた。

地域住民は私たちに対して二重の負担が強いられていると訴えた。1つ目の負担とは、洪水が以前よりも頻繁に発生するようになったことだ。住民によれば、かつて深刻な洪水は主に雨季に限られていたが、現在では(そうでない季節での)中程度の雨でも洪水が引き起こされている。洪水は(多い時には)月に3回も発生し、家屋が2週間も浸水したままになったこともあるという。

2つ目の負担とは、食料や薬草を採取し、生計を得るための森林へのアクセスができなくなったことを指す。(企業によって森林が囲い込まれてしまったため)住民は森林に入るだけでも身分証明書の提示を求められ、川の上流での薪集めや狩猟のための動物のわなの設置といった基本的な活動ですらも禁止されているという。

インドネシアで見た熱帯林開発の実態

──木質ペレット生産に関連する企業は、森林を皆伐した後にガマルという早生樹を植林し、緑の森にすると説明しています。

単一栽培のプランテーションは、元の豊かな熱帯林が持つ生物多様性や、熱帯林が提供してきたさまざまな価値を代替することはできない。輸出向けのバイオマス燃料の生産は、森林破壊を促進し、気候変動と自然災害リスクを高め、地域住民から生活の糧を奪っている。

──ゴロンタロ州で生産された木質ペレットの多くは韓国と日本に輸出されています。韓国に輸出されている理由は。

第1の理由として、バイオマス発電が政府の支援によって後押しされていることがある。

インドネシア・韓国間での木質ペレットの貿易は、政策主導で実施されている。韓国における森林バイオマスの大規模な利用は、12年に再生可能エネルギー割当制度(RPS)が導入されたのが発端だ。同制度の下でバイオマスは再エネに分類され、発電事業者はバイオマス発電によって再エネ証書(REC)を獲得できる。このRECは売却可能であり、多額の補助金創出につながる。

東南アジアから木材を輸入して韓国の発電所で燃焼させる行為は経済的には意味をなさず、政府が創出したインセンティブによって初めて採算が取れる。

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