世界で広がる「ステーブルコイン」の金融侵食/各国で進む制度整備、銀行は「預金流出」を危惧
・(1月上旬)メガバンクがステーブルコイン発行を「強いられた」理由
・(1月中旬)円建てステーブルコイン第1号「JPYC」が見据える金融革新 など
2025年は日本における「ステーブルコイン元年」となった。新興フィンテック企業のJPYCが10月に史上初の日本円ステーブルコイン「JPYC」の発行を開始。記者会見の壇上で社長の岡部典孝氏は「日本の通貨史に残る大きな分岐点だ」と強調した。
ステーブルコインとは、米ドルや日本円などの法定通貨の価値に連動するように設計された暗号資産の一種だ。取引記録を分散型データベースで管理するブロックチェーン技術を基盤としており、日本では「電子決済手段」として位置づけられている。

発行主体が預金や短期国債などの流動性の高い資産を裏付けとして運用することで、価値を担保している点が特徴だ。ブロックチェーン上で直接取引が完了するため、ユーザーにとっては低コストで迅速に送金できるメリットがある。
JPYCは発行開始から約2カ月が経過した12月15日時点で、累計口座開設数が1万件、累計発行額が5億円を突破した。ホルダー数では10万人を超え、1年目で6000~1万人という当初想定を大幅に上回るスピードで利用が拡大しているという。
3メガバンクも発行準備
国内大手金融機関でもステーブルコインの発行に向けた動きが進み出した。11月には金融庁が3メガバンクのステーブルコイン共同発行に向けた実証実験を支援対象として採択。3メガバンクが共同委託者として契約を結び、三菱UFJ信託銀行が受託者としてステーブルコインを発行するスキームが想定されている。
実証実験では、三菱商事のクロスボーダー決済で活用の可否を検証する。ステーブルコインの発行に必要な基盤・技術提供は、デジタルアセットプラットフォームなどを展開するProgmat(プログマ)が担う。
また9月には、ゆうちょ銀行がディーカレットDCPのプラットフォームを利用して、26年度中をメドに銀行預金をブロックチェーン上で取引できるようにする「トークン化預金」の取り扱いを検討していることを発表。NFT(非代替性トークン)やST(セキュリティー・トークン)などの取引での活用が想定されている。



















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